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テーマ : 選挙しずおか

浜松市行政区再編 議員定数46巡り議論本格化 27年選挙見据え

 浜松市議会(定数46)が議員定数に関する本格的な議論を始めた。現行7区が3区になる2024年1月1日の行政区再編に伴い、27年4月予定の次期市議選は前回選の7選挙区から新たな3選挙区で実施する。人口減社会での持続可能な自治体運営を目的に、紆余(うよ)曲折を経て市議会は行政区再編を決断した。自らも身を削り、議会改革を進めようと定数削減に積極的な意見がある一方、既に全国の政令市で定数が最少ということもあり、少数派や地域の意見をきめ細かく吸い上げられなくなることを危惧する声も根強い。

浜松市議会の定数の推移
浜松市議会の定数の推移
2024年1月1日からの3区
2024年1月1日からの3区
浜松市議会の定数の推移
2024年1月1日からの3区

 10月中旬の市議会議会改革検討会議。要綱を定めた15年以降、非公開で行ってきたが、定数議論が市民に直結することから、透明性を高めるために初めて公開した。「まずは現在の定数が適正かを検証する。市民の共感が得られるよう、慎重、丁寧に進める」。加茂俊武委員長は狙いをこう説明し、今後も節目の協議を公開する方針を明示した。
 05年7月の12市町村合併前に計216人だった市町村議は合併に伴って65人となり、政令市移行後の07年に54人、11年に46人と段階的に削減して選挙を行った。現在は合併前の浜松市と同じ定数で、人口68万人の静岡市より2人少なく、相模原、岡山市と並んで全国20政令市で最少だ。議員活動を支える議員報酬や政務活動費も政令市で最少水準という。
 議員定数の議論は行政区再編を機に再燃した。人口減に伴って将来の税収減が予想される中、行政区再編を進める行財政改革の流れを受けて、定数の「削減」を訴える市議は多い。
 複数回当選の市議は「行政区再編を行うのだから削減は当然」と主張する。その上で「同時に住民自治の強化や市議のレベル向上も必要だ」と強調。別のベテラン市議は「議員が減ってもデジタル技術などを駆使することで活動自体はフォローできる。市民の信頼を得るためにも定数を減らすべき」と思いを語る。
 一方、他市との比較や、全国で2番目に広い市域などを理由に、削減に否定的な声もある。浜北区と北区の大半を併せた「浜名区」が選挙区となる市議は「行政区再編でさまざまな問題が浮上する可能性があり、今まで以上に議員の責務は増す。少数意見や地域の声を吸い上げ、市政に反映させる機能が低下する恐れがある」と現状維持を求める。若手市議も「広大な面積の浜松は地域ごとに課題が異なる。市民に不安を与えるのでは」と危惧する。
 市議会は外部有識者の意見も参考に議論し、25年5月に増減・維持の方針を、26年2月に3区の配分を含む定数の決定を目指す。  新3区への配分も課題
 浜松市議会(定数46)の議員定数を巡る議論は3区への配分も課題になる。
 各区の人口は2005年の合併前の浜松市域を中心とする中央区が約60万8000人と大多数を占めるのに対し、北区の大半と浜北区を合わせた浜名区は約15万6000人、現行政区を維持する天竜区は約2万5000人と規模が大きく異なる。
 現行7選挙区の定数配分などを基に条例で暫定的に定めた3区移行後の定数は中央区が34人、浜名区が9人、天竜区が3人。議員1人当たりの人口は天竜区が中央、浜名両区より9000人程度少なくなっている。
 公職選挙法では、定数は人口に比例して定めるとしている。ただ、特別の事情がある場合については人口を基準とし、地域間の均衡を考慮して定めることができると規定している。
 (浜松総局・宮崎浩一)

監視機能向上の議論 同時に
井柳美紀静岡大教授(政治学)の話

 議会改革で重要なのは行政の監視という議会本来の機能をいかに高めるかにある。行政区再編は行政運営の効率化を目指しているため、「ひずみ」が生まれる懸念もある。定数削減自体は有権者の賛同を得やすいが、削減する際は、この「ひずみ」を監視する機能をどのように担保するかも考えるべきだ。議会の監視機能が低下してはならない。多様な民意を集約できるのか、都市部以外の声をしっかりと反映できるのか、という観点も必要だろう。

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