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テーマ : 選挙しずおか

障害者在宅介護 緊急対応体制充実求める【統一地方選 地域課題を考える 記者からの提言 番外編】

 国は障害者に関するさまざまな制度の創設や見直しを重ね、支援拡充を進めてきた。静岡県内の障害者とその家族を巡る環境も改善してきたが、短期入所施設の不足は長らく課題とされ、特に医療的ケアを伴う重症心身障害者向けの機関は少ない。毎日のケアが命に関わるため、在宅介護を担う家族が急なけがや病気になった場合の障害者への緊急対応を不安視する声は多い。

重症心身障害のある息子渡辺隼さん(左)を一人で介護する父裕之さん。緊急時に満床の可能性がある短期入所の現状に不安を抱える=3月中旬、静岡市清水区
重症心身障害のある息子渡辺隼さん(左)を一人で介護する父裕之さん。緊急時に満床の可能性がある短期入所の現状に不安を抱える=3月中旬、静岡市清水区

 重症心身障害の息子渡辺隼[しゅん]さん(25)を一人で介護する裕之さん(59)=静岡市清水区=は、認知症の母(91)の急な通院時などに、すぐに隼さんの預け先が見つからない現状に不安を訴えてきた。「(短期入所の)予約は2カ月先まで埋まり、利用者が増えすぎて新規登録も断られてしまう」
 2000年代以降、段階的に制度が見直され短期入所が理由を問わず利用可能になり、レスパイト(休息)利用が増加。介護者の心身の健康は確保されたが、施設が予約で満床になることも多い。県内の医療型短期入所施設は15カ所にとどまり、一般病床に空きがなければ利用できない施設があるため、稼働数はさらに少ない。緊急時の対応は手薄になっており、介護者を支える仕組み作りは急務と言える。
 大阪市は既に支援事業を実施。介護者に代わって、夜間や休日に急な事情で福祉事業所の職員が“ボランティア”で介助する場合、その支援に応じた費用を市が支給する仕組みが整っている。
 迅速な対応に向け、自治体に緊急対応専門の窓口を設けるのも有効だ。施設を運営する事業所の状況や利用ニーズなどを集約、管理し、緊急の相談が入った際の受け入れ先の調整、送迎のヘルパーや訪問看護師の派遣などを一括して担う。関係機関や利用者間の連携は必須となるだろう。
 仕組みを機能させるには人材確保も欠かせない。研修にかかる期間の見直しや費用の助成を検討し、介護福祉士を目指す若者や外国人材を増やしたい。
 1人きりでの介助に追われる介護者は珍しくない。在宅介護支援を充実させ、家族のみに介護を委ねない環境作りが共生社会の実現には求められる。

 ここがポイント!
 ・緊急対応を担う施設スタッフに経費補助を
 ・自治体に緊急対応専門の窓口設置を
 ・介護福祉士を目指しやすい環境整えて


 

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