障害者と生きるの記事一覧
-
支援の仕組み確立が課題 “助け”積極要請も重要 静岡市障害者協会/牧野善浴会長に聞く【障害者と生きる 第4章 災害㊦】
静岡市障害者相談推進センターの管理者で市障害者協会の牧野善浴会長は、障害福祉の課題解決へ向けた行政との協議会などに出席する一人。渡辺隼[しゅん]さん(25)を1人で介護する父裕之さん(59)ら福祉サービス利用者の相談にも応じてきた。台風15号の影響で発生した大規模な断水被害から見えた災害時の要配慮者支援対策の課題をはじめ、現在の福祉サービスの実情を聞いた。 -台風15号による災害を経て、要配慮者支援対策をどのように分析しているか。 「10月7日の市災害対策本部会では、調査により『地域や支援サービスとつながりがあり、医療的支援を要する世帯はなかった』と報告されているが、疑問が残る。今回は、
-
「つながりが重要」痛感 断水克服、仲間が救いに【障害者と生きる 第4章 災害㊥】
台風15号の影響で大規模な断水被害に見舞われた静岡市清水区。先天性筋強直性ジストロフィーの息子渡辺隼[しゅん]さん(25)を1人で介護する父裕之さん(59)=同区=の自宅は浸水被害を免れ、深刻な状況には至らなかったが、「備えが足らなかったと反省した。同じ境遇に立つ人たちに経験を伝えたい」と被災した数日間を振り返った。 断水が始まったのは土曜日と重なった9月24日午後。休日は通所施設が開いていないため、一日中在宅で隼さんを介護する必要がある。医療的ケアがあり1人にはできないため、夕方にヘルパーが来るまでは買い出しに行けない。 店に向かえた頃には、すでに水やウエットティッシュなどはどこも売り
-
妻の4度目の命日に報告 台風、過酷な介護を直撃 息子と「綱渡りの日々」【障害者と生きる 第4章 災害㊤】
先天性筋強直性ジストロフィーの息子を1人で介護している静岡市清水区の渡辺裕之さん(59)。妻美保さん(仮名)の命日に当たる10月26日、その姿は自宅近くの寺にあった。裕之さんの生活ぶりを静岡新聞の随時連載で最後に伝えてから半年余り。新型コロナウイルス禍や台風15号…。災害は日ごろの介護生活の過酷さなど全くお構いなしに渡辺さんにも襲いかかった。 裕之さんの父清さんは2002年に他界。16年には母美奈江さん(90)が認知症を発症した。頼れる身内はおらず、裕之さんは息子と母を男手一つで介護し、体力をすり減らしながらぎりぎりの生活を送っている。 先天性筋強直性ジストロフィーの隼[し
-
なぜ取材に応じたか、改めて尋ねました 「当事者深層、知ってほしい」「共生社会へ私が発信を」【障害者と生きる 番外編】
息子の隼さん(24)の介護に1人で向き合う渡辺裕之さん(58)=静岡市清水区=に記者が初めて会ったのは、重症心身障害者を学ぶ勉強会。障害者と深い関わりのない人たちに交じって勉強会に参加した裕之さんは、記者に言った。 「『共生社会』と口では言えますけどね。正直、現状のままでは実現は無理だと思っているんです」 諦めの言葉だと受け取っていた。しかし、間違いだった。出会った日から約1年間取材を重ね、「なぜ取材に応じてくれたのか」と改めて尋ねた。返ってきたのは真剣な思い。その言葉は共生社会を目指して現状を変えようとする強い決意がこもったものだった。 ◇ーー◇ーー◇ -なぜ自分の人生を記事にし