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テーマ : 選挙しずおか

浜松市 中野氏、具体的展望早期に 現市政の路線継承支持【政令市長選解説】

 自民、公明推薦の中野祐介氏(53)が大差で共産推薦の嶋田博氏(74)を破り、初当選を果たした。自民や一部経済界の強い後押しに加え、連合静岡など幅広い団体、企業の支援を取り付け、市全域で支持を広げた。嶋田氏は共産支持者を固め、現市政に対する批判票の取り込みを図ったが、出馬表明が告示直前となった出遅れ感も響き、浸透しなかった。

当選確実の一報を受け、支援者らと万歳三唱する中野祐介氏(中央)=9日午後8時過ぎ、浜松市北区
当選確実の一報を受け、支援者らと万歳三唱する中野祐介氏(中央)=9日午後8時過ぎ、浜松市北区

 退任する現職鈴木康友市長が中野氏を実質的に後継指名したことから、現市政の路線継承か、刷新かを問う選挙になった。事実上、中野氏の信任投票となった戦いは盛り上がりを欠き、政策や市政課題の議論は深まらなかった。投票率は過去最低だった2015年を4・12ポイント下回る49・44%と関心の低さを露呈した。中野氏は市の具体的な将来像を早期に示す責務がある。
 中野氏擁立は、対立構図が続いてきた自民と一部経済界が、市議会と市政の「ねじれ解消」を狙って実現させた。立民や国民など野党の本県関係国会議員からも必勝祈願の「ため書き」が寄せられるなど、陣営は幅広い支援を受けた「オール浜松の候補」と銘打ち、選挙戦を進めた。
 浜松市は人口減や基幹のものづくり産業の変革、コロナ禍で打撃を受けた経済、社会の立て直しなど地域課題が山積する上、来年1月1日には行政区再編に伴う新3区移行という大きな節目を迎える。中野氏が得た「信任」は鈴木市政4期16年の評価や、政令市の将来を託す期待値とも言える。現状をどう打開し新たな浜松の創生へ導くのか、新市長の手腕が試される。 
(浜松総局・宮崎浩一)

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