静岡市長選終盤情勢 山田氏、地元葵区で一定の手応え/鈴木氏、組織票固め巻き返しへ /難波氏、党派超え市全域に浸透
静岡市長選は元副知事の難波候補が党派を超えた支援態勢を生かして市内全域に浸透し、優位に戦いを進める。元県議山田候補は地盤とする葵区で懸命に追い上げ、清水区、駿河区でも支持拡大を目指す。共産党県常任委員の鈴木候補は党組織の票固めに注力する。
難波候補は清水区の有力企業が擁立段階から支援し、静岡商工会議所の会頭経験者が後援会長を担う。共産を除く市議会の全会派(市議47人中43人)が推薦・支持し、最大会派自民党市議団が遊説活動を取り仕切る。連合静岡やJAしみず、自治会、医師会など300を超える団体・企業から推薦を得た。
港湾行政に明るい元国土交通省官僚という経歴から、国内有数の港を有する清水区で圧倒的な支持を集める。葵、駿河区でも政党や年代を問わず支持を広げる。ただ、難波候補優勢の戦況に陣営の一部では楽観論がささやかれ、主義主張の異なる与野党、市議会各会派の間には連携の不安定さがついて回る。陣営幹部は上滑りを警戒して引き締めを図る。
山田候補は高校同窓会や地元自治会の関係者でつくる組織が選挙戦を切り盛りする。JA静岡市の推薦を取り付けた。給食費無償化や規制緩和による企業誘致を政策の柱に据え、子育て世代や若者への浸透を目指す。与野党相乗りの相手候補との選挙戦を「政党と市民の戦いだ」と強調し、無党派層への支持拡大も狙う。
自民が党籍を有する山田候補でなく、難波候補推薦を決めたことに反感を持つ保守層の取り込みをもくろむ。終盤に向け「政策を語るのは政治の責任。何も言わないのは不誠実」と対立候補を意識した訴えを強める。陣営は市議、県議として活動した地盤の葵区で一定の手応えを感じる一方、駿河、清水両区の浸透が課題とみる。
鈴木候補は共産党県委員会が擁立を主導。出馬表明が告示3週間前と出遅れたものの、国政選挙に5回、県議選に2回出馬した経験を基に巻き返しを誓う。告示直前には小池晃党書記局長の演説会を市中心街で開催して党勢をアピールした。
県議選の党公認候補と連動した街頭演説を重ね、相乗効果を狙う。大型施設整備を推進する現市政を批判し、リニア中央新幹線建設中止を旗印に掲げるが、党支持層以外への広がりは限定的。