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テーマ : 沼津市

「孫に会いたい」一心 リハビリ重ね見守り隊に 沼津の79歳男性

 「孫に会いたい」。外出もままならなかった状況からリハビリを重ね、児童の下校時の見守り隊に参加している高齢男性がいる。沼津市の岡敬三さん(79)。毎月5回を目標に始めて4月で1年。笑顔を取り戻し、利用するグループホームの仲間と愛孫の帰り道に向かう。

仲間と児童の見守り活動に励む岡さん(右)=沼津市高島本町
仲間と児童の見守り活動に励む岡さん(右)=沼津市高島本町


 10日午後2時半過ぎの同市高島本町。下校する開北小の児童らが続々と横断歩道を渡ってくる。友達に交じった孫の1年生の知幸君が駆け寄り「じいじ、ただいま」。数分の会話の後、岡さんは「気をつけて帰れよ」と送り出した。「楽しいよ。かわいい」。目を細め、知幸君の後ろ姿をいつまでも見届けた。
 やりたいことはない―。部屋にこもりがちだった岡さん。何か生きがいをと、利用するグループホーム「ハートフルホーム開北」(同市本田町)の上田渉ホーム長らが家族から「子供が好き」との思いを聞いた。知幸君の入学に合わせ、仲間と見守り隊を結成。体力回復のためのリハビリを始めた。
 理学療法士の指導を受け、心身の機能は向上。施設から見守り場所までの数百メートルを、体調が良い時は往復できるようになった。スタッフの小田嶋史子さんは「目標が明確になったのが大きい」。今では児童から声をかけてくるようになり、見守り隊全員にも好影響が見られるという。
 孫は、4月から2年生の知幸君のほか、新1年生となる季実果さんと今年1歳の優李ちゃんの3人。「まだまだやめられない」と岡さんは充実した表情を浮かべた。

 施設利用者の活動 珍しい
 「イベントなどは多いが、利用者による地域貢献につながる取り組みは珍しい」。施設を運営するアクタガワ(静岡市葵区)によると、見守り隊結成は例がなく、活動は今後も継続するという。
 山本明人総務グループマネージャーは沼津市の施設の活動について、「参加している利用者本人は孫に会えて、他の人たちも子供たちと触れ合えて喜んでいる。防犯や交通事故防止の啓発にもなり、効果は大きい」と話す。

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