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再審法改正、超党派の国会議員連盟誕生へ 3月中に設立、袴田さん姉期待「前進」

 規定が不十分なため冤罪(えんざい)を訴えている人の救済につながっていないと指摘される再審法(刑事訴訟法の再審規定)を巡り、法改正の早期実現を目指す超党派の国会議員連盟が3月中に設立されることが、29日までの複数の関係者への取材で分かった。
 静岡地裁で再審公判が続く袴田巌さん(87)は、再審を求めてから実際に開始されるまでに42年の歳月を要した。日本の再審制度は再審請求手続きと再審公判手続きの2段階構造になっている中、再審法の条文は19しかなく、再審を開くかどうかを判断する再審請求手続きについて審理をどう進めていくかの具体的なルールが乏しい現状がある。
 さまざまな課題のうち、日本弁護士連合会が特に改善を求めているのが証拠開示と再審開始決定に対する検察官の不服申し立てだ。再審請求人に有利に働くことが多い検察官の手元に残された証拠の開示が義務づけられておらず、開示を巡るやりとりだけで長い時間がかかるほか、いったん再審開始が認められても検察官の上訴が許されている。
 袴田さんは2014年に静岡地裁で再審開始が認められたが、検察官が即時抗告したため、23年に確定するまで9年が費やされた。地裁と高裁で認められた再審開始が検察官の特別抗告によって最高裁で覆った大崎事件の事例も見られる。
 再審法は戦後、一度も改正されていない。袴田さんの姉ひで子さん(91)は取材に「一歩も二歩も前進。止まっていたら何も動かない。議連には頑張ってもらいたい」と期待を寄せた。
 静岡新聞社が23年に実施した国会議員アンケートでは、回答した187人のうち185人が法改正が必要との認識を示した。野党議員の回答率は61・4%に上った一方、自民党議員は2・9%、公明党も15・3%にとどまった。議連設立に際し、与党議員がどれだけ参加するかも焦点となる。

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