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テーマ : 政治しずおか

ごみ処理の広域化に温度差 静岡県東部5市町協議 10月に方向性

 静岡県のマスタープランで示された東部5市町(三島、裾野、熱海、長泉、函南)で、ごみ焼却施設の広域化に向けた議論が進められている。2024年度から5市町による実現可能性調査を始め、10月末をめどに一定の方向性が示される見通しだ。ただ、各市町で実情は異なり、温度差も浮かび上がっている。

ごみ処理施設の広域化に対する5市町の意向
ごみ処理施設の広域化に対する5市町の意向
広域化を巡る動き
広域化を巡る動き
ごみ処理施設の広域化に対する5市町の意向
広域化を巡る動き

 5市町は23年度から検討を進めてきた。水面下では広域化した場合の新しい処理施設の建設候補地も挙がっているが、裾野市と長泉町は5市町の枠組みによる協議と並行して、それぞれ独自の事業戦略を検討する方針を明らかにしている。
 広域化の方針がまとまった場合も候補地や事業方式の選定、負担割合、住民理解など解決すべき課題は多く、開設まで長期化が予想される。
三島市…前向き 「候補地 28年ごろに」  1989年に現施設を供用開始した三島市は大規模修繕による延命化を既に実施し、2035年度まで使用し続ける計画。建設や設計を考慮し、28年ごろには候補地を決定したいとの立場だ。単独で新設しても国の交付金対象となるが、建設費や維持管理費が分散できる広域化に前向き。焼却熱による発電なども模索する市幹部は「高機能な施設を導入できる余地も広がる」と利点を強調する。
裾野市…微妙 「時間的に待てない」  裾野市は民間施設を活用した単独による「公民連携」を第1選択肢に挙げ、事業者の意見を募るサウンディング調査を実施した。調査結果などを踏まえ、今後の方針をまとめる。
 現在の焼却場は築35年が経過。「広域化は議論の長期化が予想され、時間的に待てない」(市幹部)のが実情だ。5市町の北端に位置し、広域化すると「施設が遠くなって市民が不便になる」との懸念も根強い。
熱海市…前向き 可否など「早期結論」  熱海市の清掃工場「エコ・プラント姫の沢」は築25年が経過した。焼却炉の耐用年数が目安の20~25年に達し、延命措置を施している。市は年間8億円の運営費や、単独整備した場合の巨額費用を考慮し「広域化が必要」との立場を示す。
 人口減が進む一方、観光客は増加し、ごみの量は横ばい状態が続く見通し。市の担当者は広域化の可否や枠組みついて「早期に結論を出したい」としている。
長泉町…未定 24年度に独自調査へ  長泉町は2024年度、5市町で行う調査と並行して、最適なごみ処理体制を探る独自調査を実施する。調査結果を踏まえて今後の方針を決める。
 現在の焼却場は築50年だが、25年前に大規模改修を実施した。広域化すると、いったんごみを集める中間施設を設ける必要性が生じる可能性がある。リサイクルへの考え方などに相違もあり、町幹部からは枠組み自体に疑問が出ている。
函南町…前向き 財政負担軽減に利点  函南町は2000年に現在の焼却場の稼働を開始した。広域化による新焼却場の供用開始目安となる36年度に向けて計画的に改修を進めている。人口約3万6千人の同町は単独で新設する場合に国の補助が受けられず、広域化は財政的な負担軽減のメリットが大きい。枠組みは見通せない部分があるが、仁科喜世志町長は「広域の取り組みは積極的に参画していきたい」と前向きに捉えている。

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