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テーマ : 政治しずおか

日銀 マイナス金利解除へ 17年ぶり利上げ、19日決定 賃上げで好循環実現

 日銀が18、19日に開く金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策の柱であるマイナス金利政策の解除を決める見通しとなったことが15日分かった。決定すれば2007年以来17年ぶりの利上げで、金融政策の正常化を開始する転換点となる。連合が同日公表した今春闘の平均賃上げ率が5・28%と33年ぶりの高さになったことを受け、日銀は賃金と物価がそろって上昇する好循環が実現する確度が十分に高まったとみている。
 日銀は会合2日目の19日に当面の金融政策運営を決める。日銀はマイナス金利政策を解除した後も緩和的な金融環境を維持する方針で、事実上のゼロ金利政策に移行することを想定している。金融機関が短期金利に連動する変動型の住宅ローンや企業の借り入れなどの金利を上げるかどうかが焦点となる。
 植田和男総裁は、経済の好循環の実現が見通せる状況になれば、マイナス金利の解除などを検討する意向を示している。
 日銀は物価上昇率を2%に安定させる目標を掲げ、黒田東彦氏が総裁だった13年4月に大規模緩和を始めた。16年にはマイナス金利政策を導入した。現在は短期金利をマイナス0・1%とし、日銀が国債を市場から買い入れて長期金利を0%程度に誘導するのが柱。長期金利の上限は「1%をめど」としている。
 マイナス金利政策は、民間銀行が日銀に預ける当座預金の一部に年0・1%の手数料を課す仕組みだ。解除後は、金融機関同士が短期の資金をやりとりする際の無担保コール翌日物金利を0~0・1%程度に誘導する事実上のゼロ金利政策に移行する方向で調整している。
 日銀は解除後も長期金利の急上昇を避けるため、国債の買い入れは続ける。市場を安定させる目的で続けてきた上場投資信託(ETF)の新規購入は停止する方向だ。
 決定会合で議決権を持つ政策委員にも政策の正常化を巡る発言が相次いでいた。内田真一副総裁は2月8日の記者会見で、マイナス金利を解除しても「緩和的な金融環境が維持される」と解除後の政策運営を具体的に説明。高田創審議委員は2月29日の会見で、好循環実現を「見通せる状況になってきた」と話した。

 マイナス金利政策 民間銀行が日銀に預ける当座預金の一部にマイナスの金利を適用し、手数料を課す政策。銀行は日銀にお金を預けると損をするため、企業や家計への融資を増やそうとして金利を低くする効果を期待している。大規模な金融緩和策の一環で、2016年2月から始まった。企業や家計の金利負担が減った半面、金融機関の収益減といった副作用も指摘されていた。

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