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テーマ : 政治しずおか

静岡市パワハラ問題、幹部職員減給処分 危機管理総室3人退職・2人休職

 静岡市の難波喬司市長は26日の定例記者会見で、2023年度に危機管理総室で職員の退職、休職が相次ぎ、一部の職員が上司によるパワハラを訴えている問題について調査結果を公表した。50代の幹部職員によるパワハラ行為や退職、休職との因果関係を一部認め、同職員を同日付で減給1カ月(10分の1)の懲戒処分にしたと発表した。市によると、パワハラを理由とした懲戒処分は、03年の旧清水市との合併以降初めて。

静岡市危機管理総室幹部職員によるハラスメント行為について調査結果を発表する難波喬司市長=26日午前、市役所静岡庁舎
静岡市危機管理総室幹部職員によるハラスメント行為について調査結果を発表する難波喬司市長=26日午前、市役所静岡庁舎

 ハラスメント行為として、特定の職員に業務を指示する際、必要以上に厳しい叱責(しっせき)や、他の職員の面前で叱責を繰り返したと認定した。人格や能力を否定するような言動もあったとした。幹部職員を管理監督する立場の職員に対しては、26日付で文書訓告処分を行った。難波市長は「ハラスメント行為を受けた職員には大変申し訳なく思っている」と述べた。訓告処分した職員の人数は明らかにしなかった。
 幹部職員に時間外勤務申請しないで時間外勤務を行っていたケースは、23年4~12月の9カ月間で職員14人の累計2080時間を認めた。難波市長は「申請しづらい雰囲気があった」と管理状況を問題視し、時間外勤務手当として計約606万円を追加給付する方針を示した。一方で、「幹部職員が申請を直接拒否した場面は確認できなかった」としてハラスメント行為の認定は見送った。
 危機管理総室では23年度、職員3人が途中退職し、2人が1~3カ月の病気休暇を取得した。23年12月に静岡新聞社が報道し、人事課が職員アンケートや、退職者を含む関係者への聞き取り調査を実施し、事実関係を調べていた。

パワハラ横行 失敗、ミス許されない環境形成か
 静岡市の難波市長は危機管理総室でパワハラが横行した原因について、行為を繰り返していた幹部職員の認識の欠如や、意見を言い出しにくい職場環境を挙げた。加えて、難波市長が同室の仕事に「すごく変化を求めた」とし、自身の指示が結果として失敗やミスが許されない雰囲気づくりに影響したとの認識を示した。
 市が同室の職員を対象に実施したアンケートでは、大半が人格否定や長時間の叱責、時間外勤務の申し出が認められないなど不適切な扱いを特定の上司から受けたか見聞きしたと回答した。「人は厳しく指導することで育つという意識が強い」「上司に意見や反論を言えない雰囲気」など、職場の風通しの悪さを指摘する意見も多かった。
 市が提示した再発防止策は、全職員によるハラスメント撲滅宣言の実施のほか、ハラスメントの申告フォームを庁内に新設し窓口の人事課に相談しやすくすることなど。ただ、難波市長がパワハラを認定した後も同室の仕事ぶりを高く評価する姿勢を変えないこともあり、市職員の中には「これでパワハラがなくなるとは思えない」と、防止策の実効性に懐疑的な見方も出ている。

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