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テーマ : 政治しずおか

生物影響前提に「代償措置検討を」 リニア静岡県専門部会、南アルプス上流の変化予測手法提示

 リニア中央新幹線トンネル工事の自然環境への影響と対策について協議する静岡県有識者会議の生物多様性専門部会の会合が12日、県庁で開かれ、今回から部会委員になった竹門康弘大阪公立大客員研究員(生態系管理学)が、南アルプス上流域の沢の水生生物への具体的な影響を予測する手法を提示した。竹門委員は「影響は必ず出る」との考えを前提にすべきだとし、「正面から代償措置を検討していく必要がある」と強調した。

リニア工事の南アルプスへの影響について協議した静岡県有識者会議生物多様性専門部会=12日午後、県庁
リニア工事の南アルプスへの影響について協議した静岡県有識者会議生物多様性専門部会=12日午後、県庁
リニア工事の南アルプスへの影響について協議した静岡県有識者会議生物多様性専門部会=12日午後、県庁

 県専門部会ではこれまで、環境影響の回避・低減に関する議論を優先し、影響が回避できない場合に実施する代償措置の議論を十分に進めてこなかった。2023年12月に報告書を取りまとめた国専門家会議で課題が整理されたことを踏まえ、県としても最終的な取りまとめに向けて代償措置の議論にかじを切った。
 竹門委員は、沢の滝部分や平瀬、湧水地点など生息場ごとに生物群を分類し、生息場の変化から生物群への影響を予測する手法「景観に基づく生息場評価法」を提案した。航空写真やドローンによる撮影で沢全体の生物群集を推定するほか、実態が明らかになっていない沢上流域では、JRに追加の現地調査を求めるとした。
 国会議は、トンネル湧水量や沢の環境に変化が確認されるごとに適宜対策を講じる「順応的管理」の手法が適切とした。ただ、国会議委員を務めた竹門委員は「沢の流量や生物群集の変化への対応は、必ずしも順応的管理はなじまない」と異論を唱え、工事前に具体的な影響予測と代償措置を検討し、関係者間で合意する必要性を強調した。
 JRの担当者は提案を受け入れ、工事区域にある沢35カ所を対象に、同手法による生物影響予測に取り組む考えを示した。
 森貴志副知事は川勝平太知事の辞職の影響について会合後の取材に「専門部会の目的は変わっていない。議論を続けていく」と述べた。

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