宇宙への核配備阻止 決議案 日米が安保理提出 意向 ロは反対
【ニューヨーク共同】国連安全保障理事会は18日、核軍縮・不拡散を協議する閣僚級会合を開いた。米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は、宇宙空間に核兵器や大量破壊兵器を配備しないよう各国に求める決議案を日本と共に安全保障理事会へ提出する意向を表明した。拒否権を持つ常任理事国ロシアは反対する考えを示し、採択できるかどうかは不透明だ。採決の時期は未定。
閣僚級会合は上川陽子外相(衆院静岡1区)が議長を務め、兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の「友好国(フレンズ)」会合の開催を表明した。記者団に「多くの国から日本の指導力を歓迎する発言があり、核拡散防止条約(NPT)体制の維持・強化の重要性に言及があった」と説明。決議案は、宇宙の平和利用を定めた「宇宙条約」を再確認するためだと語った。
トーマスグリーンフィールド氏は閣僚級会合で「地球周回軌道上への核兵器配備は前例がない。危険で、受け入れられない」と訴えた。米国は、ロシアが宇宙空間で人工衛星を攻撃する能力を構築しているとみている。
ウクライナ侵攻などで米国と激しく対立するロシアのポリャンスキー国連次席大使は、米国の決議案は「現実離れしており、プロパガンダに過ぎない」と批判し、反対姿勢を示した。中国の張軍国連大使は、米国やロシアに比べ核兵器の数が格段に少ない中国に核軍縮や透明性を求めるのはおかしいと主張した。
国連のグテレス事務総長は「広島、長崎の被爆者は平和を伝える偉大な生き証人だ」とたたえ、核保有国は核軍縮への対話に応じていないと批判した。
日本外務省は19日、FMCT友好国会合に米国、英国、フランスなど11カ国が参加すると発表した。ロシア、中国は入っていない。