安倍派6人 証人喚問を 裏金事件 野党幕引き阻止へ圧力
立憲民主など野党は19日、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、安倍派幹部ら計6人の証人喚問を要求した。立民の安住淳国対委員長は、自民の浜田靖一国対委員長と国会内で会談し実現を迫った。野党は幕引き阻止へ圧力を強化。派閥会長を務めた森喜朗元首相に事情を聴く必要があるとの声も上がった。事件に一区切り付けたい自民は証人喚問などの実施に消極的だ。事件を巡る与野党攻防がさらに激化した。
6人は、既に衆院政治倫理審査会で弁明した安倍派の塩谷立氏(衆院比例東海)、下村博文氏、西村康稔氏、松野博一氏、高木毅氏のほか、政治資金規正法違反罪で逮捕、起訴された衆院議員池田佳隆被告。安倍派幹部である5氏が出席した衆院政倫審では、同派でいったん取りやめた資金還流が復活した経緯などが解明されないままだ。野党内で「疑惑は深まった」との批判が相次いだ。支持率が低迷する岸田政権を厳しく追及する。
証人喚問は政倫審と異なり、偽証した場合は刑罰の対象になる。浜田氏は記者団に「ハードルが高い話だ。のめるかどうかなかなか判断しづらい」と述べた。
立民の岡田克也幹事長は記者会見で、証人喚問について「事件の重大さから見て、当然、応じる責任があるのは明らかだ」と強調。与党側が難色を示している点に関し、「世論をしっかりと受け止めるのならば、自民だっていつまでも知らん顔はできない」と語った。
日本維新の会の藤田文武幹事長は、先の衆院政倫審を振り返り、「真相にたどり着かない」と指摘。偽証罪が適用される証人喚問は「致し方ない」と述べた。共産党の田村智子委員長は「発言の食い違いを徹底的に追及し、事実解明を実現したい」と訴えた。
自民、立民両党は19日、衆院予算委員会理事懇談会を21日に開く日程で合意した。立民は小野寺五典衆院予算委員長(自民)に証人喚問開催を正式に申し入れる方針だ。
安住氏は浜田氏との会談で、政治資金収支報告書に不記載があった衆院議員51人のうち、政倫審で弁明していない45人の審査会出席も求めた。