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テーマ : 政治しずおか

資金移動 14年で4億円超 茂木氏団体、後援会に 透明性ルール骨抜き

 自民党の茂木敏充幹事長の資金管理団体が、使途公開基準の緩い政治団体「茂木敏充後援会総連合会」に毎年多額の資金を寄付して支出の具体的な内容が分からなくなっている問題で、寄付による資金移動が2009~22年の14年で4億4千万円に上ることが6日、政治資金収支報告書の分析で分かった。後援会総連合会の支出のうち使途明細がない割合は09年と12年を除き毎年90%を超え、全体で94・4%を占めた。

茂木幹事長の政治団体を巡る資金の流れ
茂木幹事長の政治団体を巡る資金の流れ


 政治とカネを巡る不祥事が相次ぎ、厳格な使途公開基準を定めた「国会議員関係政治団体」の運用が09年分の収支報告書から始まったが、透明性を高めるルールが資金移動によって骨抜きになっていた。専門家は「異様な額で、裏金を疑われて当然」と指摘している。
 茂木氏の事務所は「活動実態に即して、政治資金を法令に従い適切に処理し、収支を適正に報告している。透明性の向上は重要だと考えており、今後、適切な対応を検討したい」とした。
 政治資金規正法は国会議員関係政治団体に関し、人件費を除く1万円超の支出全てについて、1件ごとの使途明細を収支報告書に記載するよう義務付けている。資金管理団体「茂木敏充政策研究会」はこれに該当する一方、後援会総連合会は関係団体ではなく「その他の政治団体」に当たる。人件費や事務所費などの経常経費は1件ごとの記載義務がなく、政治活動費についても記載義務は5万円以上の支出に限られる。
 収支報告書によると、2団体は所在地や会計責任者、連絡先が同じ。
 後援会総連合会の09~22年の収入は計4億4622万円で、政策研究会からの寄付が計4億4590万円と99・9%を占めた。支出は計4億4598万円で、94・4%に当たる4億2112万円の使途明細がなかった。使途明細なしの割合は09年が79・9%、22年は99・4%だった。
 同様の資金移動は08年以前の収支報告書でも確認された。
制度ないがしろ  政治資金に詳しい岩井奉信日本大名誉教授(政治学)の話 巨額の資金を移動した上、移動先の後援会で9割を超える支出の明細が分からない状況は異様だ。裏金づくりに使われたのではと疑われて当然。所在地や会計責任者、連絡先が同じ団体間での資金移動であり、国会議員関係政治団体の制度をないがしろにする行為と言える。現在の政治資金規正法では対応が難しく、制度の限界を狙うかのようで批判されて然るべきだ。法改正し、全ての政治団体について資金の流れをチェックする第三者の監査機関を作ることが必要だ。

 国会議員関係政治団体 政治資金規正法は①国会議員が代表を務める団体や政党支部②寄付金控除の適用を受けて特定の国会議員を推薦・支持する団体-を「国会議員関係政治団体」と定めている。人件費を除く1万円超の支出について具体的な使途内容の記載義務が課せられ、全ての領収書の保管義務がある。税理士など「登録政治資金監査人」による監査も受けなければならない。事務所費の架空計上など政治とカネを巡る不祥事が相次いだのを受け、政治資金の透明性を高めるための特例として2009年に運用が始まった。

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