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テーマ : 政治しずおか

自民、16道府県で政策活動費 不透明資金、地方も 静岡県は確認されず

 政党から政治家個人に支給され、使途を明らかにする必要のない「政策活動費」と同様の制度が自民党の16道府県連に設置されていたことが16日、共同通信の調査で分かった。派閥パーティー裏金事件を通じて政活費の不透明さが問題となり、野党が国会で制度廃止を提案。裏金事件で議員が逮捕された愛知県連は廃止を決めたが、他は廃止や使途の公開に後ろ向きだった。政治資金のブラックボックス化が地方にも広く定着している現状が浮き彫りとなった。

東京・永田町の自民党本部の看板
東京・永田町の自民党本部の看板

 自民党都道府県連の幹部や事務局に、政治資金収支報告書への記載義務が生じる政治団体ではなく、所属議員個人に資金を支給する制度があるかどうかを取材した。使途が一定程度明確な「旅費」などは対象外とした。
 政活費と同様の制度が「ある」と答えたのは青森県連や新潟県連、兵庫県連などで、支給対象は地方議員が多かった。名称は「活動費」「組織対策費」などだった。金額は年数万~数十万円が多く、時期によって変動するところもあった。
 多くが交際費などの政治活動に充てられているとした一方、「具体的な内容の報告は受けていない」(北海道連)、「使い方は各議員に任せている」(大分県連)との回答も多く見られた。
 愛知県連は裏金事件を受け、地方議員らに支給していた「活動費」を議員個人への手渡しから政治団体への振り込みに変更した。「透明性を高めるため」としている。岩手県連は、領収書の保存を徹底するよう各議員に指示したという。 
 静岡など31都府県では政活費と同様の制度が確認されなかった。
 政治資金規正法は政治家個人への寄付を原則禁じる一方、政党からの支給を例外的に認めている。政活費は党側の収支報告書には支出として記載されるが、議員側は収入として記載しないため、有権者は使途を知ることができない。自民党の二階俊博元幹事長が在任中の5年間に計約50億円を受領したことが国会で問題になっている。
 規正法違反罪で逮捕、起訴された衆院議員池田佳隆被告側は当初、裏金を収支報告書に記載しなかった理由を「政活費と認識していたため」と説明していた。

 政策活動費 政党から政治家個人に支給される政治資金。政治資金規正法は政治家個人への寄付を原則禁じる一方、政党からの支出を例外的に認めている。政党側の政治資金収支報告書には支出として記載されるが、政治家側は収入として記載しないため使途が分からず、政治資金透明化を阻む「抜け道」と指摘されている。自民党では主に役職者に支給され、総額は2021年が約17億円、22年が約14億円だった。立憲民主党も一部議員に支給していた。立民や日本維新の会は制度の廃止、中止を求めているが、岸田文雄首相や自民党幹部は「政治活動の自由」などを理由に廃止に後ろ向きだ。

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