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テーマ : 選挙しずおか

浜松市長選 “相乗効果”狙い自民支援【検証 統一地方選前半戦㊥】

 「危ないのは誰だ」「どこに応援に入ろうか」。浜松市長選の中盤、幅広い企業・団体の支持を取り付けて優位に戦いを進める中野祐介氏(53)陣営の視線は、同じ4月9日投開票の市議選へと移っていた。

当選が決まり、万歳三唱をする中野祐介氏(中央)。自民党や経済界の関係者も駆け付けた=9日夜、浜松市北区
当選が決まり、万歳三唱をする中野祐介氏(中央)。自民党や経済界の関係者も駆け付けた=9日夜、浜松市北区

 市長に就任する際、安定して市政を運営する上で重要なのが市議会(定数46)との関係。良好な関係性を築くためにも、中野氏を擁立し、支える最大会派「自民党浜松」の過半数獲得は是が非でも必要だった。
 市議選告示後、中野氏は相乗効果を狙って自民候補と連携した運動を進めた。街頭演説では各候補を「同志」と呼び、「目指す方向が同じ。市と市議会は車の両輪。共に浜松を元気にしたい」と有権者に熱く語り掛け、支持を求めた。
 最終盤は当落線上とみられる複数の陣営を集中して応援し、その全員を当選に導いた。自民は改選前と同じ過半数の24議席を確保した。中野氏陣営幹部は「市長就任が確実視される中野氏の応援効果は絶大。これで、市政運営が安定するはず」と実感を込める。
 自民と一部の経済人が擁立し、政財界の幅広い支援を受けて出馬した中野氏。だが、「オール浜松」の候補とうたいながらも、自民偏重とも見える動きに対して、当選した複数の非自民市議らは「このままでは自民の言いなりになってしまうのでは」と危惧する。
 浜松では長年、自民と経済界の対立が続いた。自民と、経済界が支える市長の「ねじれ」解消を目指し、両者が連携して中野氏を擁立した。ただ、現役世代への投資を重視する自民に対し、経済界は将来のために行財政改革推進を期待するなど思惑は必ずしも一致していない。過去には、当時の市長が行革を巡って支援母体の経済界と衝突。関係性は悪化し、経済界が対抗馬として現市長の鈴木康友氏を擁立した経緯もある。
 自民関係者は「要望が通らないなら、与党になっても意味がない。だが、行革が進まなければ、経済界は黙っていない」と指摘。オール浜松体制が足かせとなり、市政の停滞を招く「もろ刃の剣にならなければいいが」との不安もにじむ。
 こうした懸念に対し、中野氏擁立に関わった企業人の1人は「みんなで支えると決めた限りは、とやかく言うのではなく任せたい。市民の方を向いて仕事をしてほしい」と強調する。
 16年ぶりに浜松の新たなかじ取り役となる中野氏。市民目線に軸足を置いた行政運営を実現できるのか。

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