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テーマ : 選挙しずおか

現職53人議席堅持 新人13、元職2【静岡県議選 戦いの軌跡】

 統一地方選の県議選は10日未明までに新たな議席が決まった。無投票の15選挙区を除く19選挙区で、43議席を巡って67人が激しい選挙戦を繰り広げた。現職53人が議席を守り、新人は13人が当選した。元職は2人返り咲いた。9日間にわたる選挙戦の経過や当落の要因に迫った。

県議選の選挙区
県議選の選挙区

■浜松市中区 自民と連合系 分け合う
 自民現職の竹内良訓、杉本好重両氏と連合静岡推薦の新人鈴木唯記子、田中照彦両氏が、それぞれ組織の力を生かして当選した。共産元職の平賀高成氏は700票弱の僅差に泣いた。改選前に続き、自民系と連合系が2議席ずつ分け合う結果となった。
 5選を果たした竹内氏は党県連や会派の中心で積み重ねた実績を掲げ、運動量と組織力で他候補を圧倒した。特に、中小企業や各種団体からの期待を集め、危なげなく4期連続のトップ当選を決めた。
 鈴木氏は岡本護県議の後継として連合静岡の支援を受けた。連日、仲間と選挙区内を歩いて回り、行き会う人と対話する戦略で知名度向上に努めた。教育、子育て支援の提案も同世代の女性の共感を呼んだ。
 前回初当選した杉本氏は1期4年の間に保守層や各地域に浸透した。告示前は劣勢との観測もあったが、県議会最大会派の貴重な女性議員という立場を強調して女性票を取り込み、前回からの上積みを遂げた。
 市議を3期務めた田中氏は、自身の組織や連合関係者らと精力的に区内を巡って街頭演説を重ねた。市議時代に、鈴木康友市長と近い会派で行革に努めた実績を強調し、働く世代の男性の間で支持を広げた。
 2期ぶりの議席奪還を目指した平賀氏は、生活者目線の改革を訴え、共産支持者に加えて無党派層への浸透を図った。ただ、低調な投票率が示すように批判票の掘り起こしは進まず、あと一歩及ばなかった。

■浜松市東区 中沢氏、大差つけ勝利
 両現職が新人の挑戦を退けた。自民の中沢公彦氏は選挙区全域に支持を広げ、大差でトップ当選。終盤までもつれた2番手争いは、無所属の大石哲司氏が現職の強みを生かし、立民の新人丸山洵氏を振り切った。
 中沢氏は保守層を手堅くまとめたほか、市議選の自民系4候補と連動した活動を展開し、各地で精力的に票を掘り起こした。前回選は無投票だったことから、終盤は大規模な決起大会を開いて引き締めを図った。得票数は2万票を超えて2位に6千票余の差をつけた。得票率は約45%に上った。
 大石氏は大票田の地元・積志地区を手堅くまとめ、集票した。親交のある平山佐知子参院議員(無所属、静岡選挙区)の応援を受け、女性や無党派層の支持も獲得。県議会で知事与党会派として川勝平太知事を支えた実績などから、自主投票となった連合静岡の一部労組票も取り込んだ。
 丸山氏は秘書を務めていた源馬謙太郎衆院議員(立民、静岡8区)の支援者や立民支持層を中心に票を集めた。38歳の若さもアピールして世代交代を訴えたが、及ばなかった。

浜松市南区 安定の飯田氏 引き離す
 自民現職の飯田末夫氏が浜松市議を4期務めた知名度を生かし、他候補を引き離して当選した。無所属現職の山本隆久氏は実績を主張し、地元を手堅くまとめた。告示日直前に出馬表明した無所属新人の馬塚丈司氏は県政への批判を展開したが、浸透しなかった。
 飯田氏は市議、県議の20年の政治活動を通じて市と県の架け橋になってきたとアピールした。自民推薦の市長候補、市議候補と連携し、街頭では道路整備の働きかけなど地域密着の姿勢も打ち出して、終始安定した戦いぶりを見せた。
 山本氏は与野党の衆院議員秘書の経験から、政党の意見に左右されずに活動してきたと強調した。馬込川流域の防災に関する実績や、情報通信技術を活用した教育の充実などの政策も掲げて地元を固め、無党派層からの票も集めた。
 馬塚氏は市議選で3選した長女とともに選挙区内を回り、知名度の向上を狙った。幹線道路沿いなどに立ち、環境影響への懸念から県が進める西区篠原地区の野球場建設計画反対を唱えたが、支持を広げることはできなかった。

■浜松市北区 前回選に続き 現職2氏
 前回選と同じ顔触れの3氏による再戦は、連合静岡の推薦を受けた無所属の良知駿一氏がトップ当選を果たし、自民の鈴木利幸氏が続いて現職2人が議席を守った。雪辱を期した無所属の新人神間智博氏は2448票差で敗れた。
 良知氏は専門の情報通信技術を活用した取り組みを掲げ、一児の父親として子育て施策への姿勢もアピール。非自民層をはじめ若年層や女性、無党派層から幅広く支持を得た。地盤の細江町域で票を固め、安定した戦いで得票率を前回から約6・6ポイント伸ばした。
 7期目を目指した鈴木氏は、有権者数の4割弱を占める地元の三方原地区をまとめた。行政区再編で同地区と区が分かれる旧引佐郡では苦戦も予想されたが、農業基盤整備などの実績から農業関係者を中心に支持は根強く、追い上げを図る新人を振り切った。
 神間氏は自民系の市議時代に培った経験を生かし「県政の見える化を果たす」と訴えた。地元の都田地区や出身地の引佐町域では健闘したが、他陣営と比べて組織力で劣り、当選ラインに届かなかった。

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