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テーマ : 選挙しずおか

静岡市葵区/自公組織戦、共産敗れる  駿河区/「現職の壁」維新及ばず  清水区/国民、無所属「空席」獲得【静岡県議選 戦いの軌跡】

花束を手に、支援者と喜び合う杉山淳氏(右)=9日、静岡市駿河区
花束を手に、支援者と喜び合う杉山淳氏(右)=9日、静岡市駿河区

■静岡市葵区
 静岡市長選に出馬した山田誠氏の議席が空席となった影響が注目される中、自民のベテラン現職が手堅く勝利し、組織力に勝る公明新人、自民支部推薦の無所属新人、無所属現職、無所属元職が激戦を制した。共産は議席を失った。
 自民の天野一氏は強固な組織と知名度を生かし、10選を果たした。地元の安東や安倍川筋をはじめ全域から集票した。自民市議の全面的な支援を受け、党支持層を着実に固めた。政治経験や実績をアピールして序盤から終始優位に戦いを進め、山田氏の地盤にも食い込んだ。
 引退県議の後継として出馬した公明の山本彰彦氏は市議6期の実績を強みに、県と市の連携強化に取り組むと訴えた。党組織や支援組織がフル稼働し、安定した戦いを見せた。公明支持層に浸透し、地元の平和でも支持を集めた。
 自民支部の推薦を受けた無所属天野多美子氏は地元の横内を手堅くまとめた。党の支援は限定的だったが、女性や子育て世代を中心とした無党派層に浸透し、初当選を果たした。元静岡市長の父天野進吾氏も街頭で支持を呼びかけた。
 無所属の小長井由雄氏は地盤とする山間地で強さを見せ、6選をたぐり寄せた。前回選から得票を減らしたものの、立民支持層から一定の支持を得るなど反自民票の受け皿となった。
 無所属の遠藤行洋氏は昨年秋から重点的に活動してきた瀬名や安倍口で支持を広げ、返り咲きを果たした。候補者が乱立する中、元アナウンサーの知名度を生かして浮動票を取り込み、最終盤に追い上げた。
 共産の鈴木節子氏は静岡市長選に出馬した党公認候補と連動した選挙戦を展開し、党支持層を着実に固めたが、あと一歩届かなかった。維新新人の平島政二氏と無所属新人の斎藤佳代氏は出馬表明の遅れを挽回できなかった。

■駿河区
 自民、立民、公明の現職4人が手堅い選挙戦を展開して議席を守った。維新の新人は善戦したものの、現職の壁にはね返された。
 自民の相坂摂治氏は大票田の地元長田で得票し、沿岸部の中島、大谷、久能でも浸透した。13の自治会連合会の推薦を受けたほか、企業・団体の推薦も100以上得た。党公認を前面に出した組織戦を展開し、4期連続のトップ当選を果たした。
 立民の杉山淳氏は1期4年の実績をアピールし、非自民層の受け皿となった。出身の自治労や高校OBらがフル回転し、拠点の富士見台や登呂、有東の票もまとめた。「脱原子力エネルギー依存」の主張を掲げて共産支持層も一部取り込んだ。
 公明の牧野正史氏は党と後援組織がフル稼働。現職の知名度も生かし、公明支持層をほぼ固めた。約50の自治会・町内会から推薦を受けたほか、地元の小鹿を中心に選挙区全域でまんべんなく得票した。自民などの支持層にも一部食い込んだ。
 自民の佐地茂人氏は地盤の駅南の森下、南部、大里西を固めた。終盤に劣勢が伝えられ、組織をてこ入れして票を掘り起こした。他候補が地盤とする大谷や、今回不出馬の元国民候補が地盤としていた中田も積極的に回り、当選ラインに届いた。
 維新の岡山晃一郎氏は若さや既得権益打破をアピールし主に無党派層に浸透したが、知名度不足が響き、あと一歩及ばなかった。

■清水区
 自民現職の望月香世子氏が終始戦いをリードして再選を果たした。公明現職の盛月寿美氏は2位につけ4期目が確定。8期と5期を務めたベテラン2人の引退で空く2議席は、国民新人と無所属新人が獲得した。自民は念願の2議席目を得られなかった。
 自民系候補が2人出馬し保守分裂となった一昨年の補欠選挙を制して初当選した望月氏が、得票総数の3割以上を占める2万8千票余りを獲得し、2位に1万票以上の差をつけトップ当選した。衆院選に8回当選し、環境相も務めた実父の故望月義夫氏の抜群の知名度を生かし、受け継いだ後援会組織もフル回転。他候補の追随を許さなかった。
 公明の盛月氏は支援組織関係者や自身が会長を務める清水西高同窓会、地元の複数の連合自治会など幅広い支持を得た。期日前投票では支持者が多く投票に訪れ、先行した。女性3人が立候補する中、存在感のアピールに苦慮した面もあった。
 党本部の公募を経て、引退する林芳久仁県議の後継として立候補した国民の中山真珠氏は労組票を中心に獲得して初当選を果たした。党幹事長の榛葉賀津也参院議員もたびたび応援に入った。「落下傘候補」で浸透に苦労したが、無党派層の一部にも食い込んだ。
 唯一、無所属新人の松井優介氏は「しがらみのない政治」を訴え、共産支持者の票などを取り込んだ。最終局面まで自民新人の伊藤高義氏と競り合ったが、自民が望月氏と伊藤氏の票の分配に失敗し、“敵失”に救われた面もあった。伊藤氏は知名度の低さを組織力でカバーできなかった。

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