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ジオガイドが紹介 伊豆の地質 歩いて学ぶ【しずおかアウトドアファン】

  価値ある地質遺産を保護しながら観光や教育に生かして地域振興を目指す「ジオパーク」。伊豆半島は、2018年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)から「世界ジオパーク」の認定を受けた。各地にある見どころのジオサイトは、約2千万年にわたる伊豆半島の形成や火山活動の痕跡を今に伝え、景勝地も多い。伊豆半島ジオガイド協会の協力で、下田、河津、東伊豆の1市2町のウオーキングが楽しめるジオサイトを訪ねた。  photo03
(文/生活報道部・草茅出、写真/東部総局・田中秀樹)
 海底の謎語る しま模様 下田・恵比須島 photo01 海底火山の活動の痕跡を示す恵比須島の地層に触れる青木真由里さん=下田市
 「海底火山で起きたことは通常は見られない。でもここに来れば誰もが手軽に地層を観察することができるんです」。下田市の恵比須島でガイドの青木真由里さん(58)=同市=は、美しいしま模様を描く地層にそっと手を触れた。
 1周30分ほどで回れる小さな島の中には、海底に積もった火山灰や軽石、水底土石流など多様な地層が混在している。島の南側にある「千畳敷」は、波が削った浅瀬がその後の隆起で海面に姿を現した場所で、磯遊びスポットとしても人気だ。石材として知られる伊豆石を切り出した石丁場跡など、人間の営みについても知ることができる。天気が良ければ利島、新島、神津島など伊豆諸島の島々が間近に迫る。
 冬場の満潮時は、恵比須島の周囲の遊歩道が海水に漬かることがあるので注意したい。少し足を延ばせば、スイセンの名所として知られる爪木崎などがある。

 黄金色のススキ広がる 東伊豆・細野高原 photo01 細野高原の成り立ちについて説明する加藤健司さん=東伊豆町
 秋の日を受けて見渡す限りのススキの穂が黄金色に輝く。東伊豆町稲取の細野高原は、125ヘクタールの広大な敷地にススキ原や湿地が点在し、訪れた人の目を楽しませる。
 同高原は80万~20万年前の天城火山の活動が終わった後、地滑りによって形成された標高400~800メートルの緩やかな傾斜地にできた。ガイドの加藤健司さん(58)=伊東市=は「海と山の眺望が抜群。ススキの時期が有名だが、夏場も青々とした草原が広がるなど季節によって異なる美しさがある」と話す。毎年2月の山焼きで植生を保つ努力が続けられてきた。
 高原内には散策路が整備されていて、約1・5キロから6・5キロまで体力に応じて選べる。高原の奥にそびえる三筋山(標高821メートル)までハイキングすることも可能だ。27日までは「秋のすすき観賞会」と題して、スタンプラリーなどを実施している。

 噴火跡 異なる表情魅力 河津七滝 photo01 初景滝の魅力を紹介する鈴木まき子さん=河津町
 落差10メートル、幅7メートルにわたって本谷川の水が豪快に流れ落ちる。河津町の河津七滝[ななだる]の一つ初景滝の前で足を止めたガイドの鈴木まき子さん(70)=伊豆市=は「七滝は一つ一つ表情が違う。いつ来ても豊かな水と自然が楽しめます」と魅力を語る。
 初景滝をはじめ、釜滝、エビ滝、蛇滝、カニ滝、出合滝、大滝は約2万5千年前の登り尾南火山から流れ出した溶岩が谷に流れ込むことで生まれた。溶岩が冷えて固まった「柱状節理」が並び立つ様子をそこかしこで見ることができる。滝に沿って伸びる全長約1キロの踊子歩道を歩けば、森林浴をしながら気軽に七滝巡りができる。夏場を中心に、ウエットスーツを着て沢下りをするキャニオニングなども行われている。
 近年は川端康成の「伊豆の踊子」を読んで海外から訪れる旅行者もいるという。鈴木さんは「河津など伊豆半島は文学の舞台にもなってきた場所でもある。さまざまな楽しみ方があるのでぜひ一度足を運んでほしい」と語る。

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