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記者コラム「清流」 震災の教訓

 伊東市の沿岸部で暮らす自身にとって、津波は関心事だ。大学生だった当時に起きた2011年の東日本大震災。黒茶色の水が陸地を襲い、人家をのみ込む被害の映像は脳裏に強く焼きついている。今後も忘れることはないだろう。
 普段、何げなく眺めている穏やかな情景が突如として荒れ狂う様子は信じがたい。100年前の1923年9月1日に起きた関東大震災で、多数の津波犠牲者が出た伊東。現在、その街並みから日常的に悲哀を感じることはない。
 地域の高台の寺には「九月一日ヲ忘レルナ」と書かれた震災の教訓を伝える供養塔がたたずむ。100年前に生き残った住民から今を生きる私たちに向けられたメッセージだ。塔の上部に大きく刻まれた文字を見るたびに、その思いを後世に継ぐ必要性を感じる。
(伊東支局・白柳一樹)

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