テーマ : 伊東市

伊東 小室山周辺 “多彩な魅力”【しずおかアウトドアファン】 

 秋の行楽シーズンでにぎわいを見せる伊豆東海岸の観光地。伊東市の中部に位置する小室山とその周辺は、一碧湖や川奈地区の海など多彩な顔を持ち、アウトドアの楽しさを味わえるスポットも多い。地域に詳しい「伊東自然歴史案内人会」の松川湖・一碧湖部会長の小川明美さん(66)らと現地を散策した。
 (伊東支局・白柳一樹)
マリンスポーツ盛ん 川奈 高台から望む川奈地区の一画=10月下旬  小室山近くに広がる川奈地区の特徴は海だ。川奈港周辺には公園が整備され、堤防では釣り人たちが盛んにさおを伸ばしてカゴ釣りやサビキ釣りに挑戦している。多彩な魚種と美しい海中の景色が見られるためマリンスポーツも盛んで、ダイビング客が集う。夏場には海水浴客でにぎわいを見せる。
 かつての噴火がもたらした溶岩流は起伏のある地形を生み出し、自然のダイナミズムを感じさせる景観をつくった。急峻[きゅうしゅん]な坂道に沿って人家が立ち並び、細い路地が連なっている。周辺でのウオーキングは、土地の高低差を体感するのに最適だ。
 良港として古くから漁業や輸送船の往来で栄え、海上交通の要衝でもあった川奈。道路の整備や埋め立てにより街並みは変化しているが、かつては海だった地点などその名残を感じさせる場所もある。
「伊豆の瞳」 植生豊か 一碧湖 「伊豆の瞳」と呼ばれる一碧湖。秋には紅葉も楽しめる=11月上旬  約10万年前の噴火でできた、火口湖の一碧湖。「伊豆の瞳」と称され、季節ごとに移り変わる景色を楽しむことができる。11月には紅葉シーズンを迎え、多くの人が湖畔に集う。
 湖の周囲には遊歩道があり、景色を眺めながら散策できる。現地を訪ねた11月上旬は、一部の木の葉が色づき始めた時季。ナンキンハゼが赤や黄色に染まり、湖面とのコントラストが美しい景観をつくっていた。レンタルボートでこぎ出せば、湖上から眺望を楽しむことも可能だ。
 湖畔には、県内では唯一の自生地とされるチョウジソウが群生する。川岸や湿った草地に生える多年草で、5月ごろ花を咲かせる。湖と周辺にはヒメガマのほかヒメシャラ、ハンゲショウ、コウヤボウキなどの植物が生える。小川さんは「一碧湖は伊豆地域の植生の多くがコンパクトに集まって見られる場所」と語った。
徒歩でも気軽に登頂 小室山とその周辺 360度の眺望を楽しむことができる小室山の山頂=10月下旬  手軽な山歩きを楽しめるのが標高321メートルの小室山とその周辺。火山噴火による噴出物のスコリア(溶岩のしぶき)が火口の周囲に降り積もってできた。山麓には40種類・約10万本のツツジが植えられていて、開花時期には鮮やかな色合いの花のじゅうたんが広がる。山頂はリフトを利用すれば簡単にたどり着けるが、徒歩での登頂も可能だ。
 「小室山は昔、草刈り場だった。かやを刈り、生活に利用していたんです」と小川さん。現在は小高い木々や野草が山肌を覆っている。しばらく勾配の道を進むと急に視界が開け、山頂に到着。涼やかな風が抜ける山頂から望む360度の大パノラマは圧巻だ。遠くに富士山がそびえ、間近には大室山など伊豆の山々も。眼下には相模灘や伊東の街並みが広がり、絶景が疲れを癒やしてくれた。
 山頂に向かう道すがら、サザンカやアラカシなどさまざまな植生を見ることができた。道中にはアスレチック遊具や恐竜のモニュメントが設置され、休日には外遊びを楽しむ多くの家族連れでにぎわう。山頂には2021年、地元交通事業者によって木製の遊歩道やカフェが整備され、今夏には同じく麓のレストラン施設がリニューアル。時代に合わせ変化を続けている。
 小川さんは「気軽に登ることができ、家族でくつろいだり景色を楽しんだりできるのがいい」と魅力を話した。

いい茶0

伊東市の記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞