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キャンプの知恵 防災に生かそう! 各地でイベント お役立ちグッズも【しずおかアウトドアファン】

 9月1日は防災の日。2023年は関東大震災から100年の節目に当たる。大規模災害に遭った時のことを考え、日頃の備えを固める上で役立つのが、アウトドアの知識や道具だ。自然体験活動に取り組む認定NPO法人しずおか環境教育研究会(静岡市駿河区)の理事長で、防災士の資格を持つ東山浩子さん(54)にポイントを聞いた。

専門家「日常でも活用を」 組み立てたコットの上に寝袋を敷く東山浩子さん=静岡市駿河区  災害時にまず課題となるのが、調理や暖を取るのに使う火の確保。キャンプの時に使うたき火台があれば、幅広い用途に使える。「落ちているスギやヒノキの葉、松ぼっくりなどはよく燃えます」と東山さん。金属の棒をこすって火花をつくるファイアスターター、たき付け用に麻縄を持っていれば素早く着火できるという。
 被災したら避難所で寝泊まりすることになるかもしれない。固い床や地面に寝ると節々が痛んだり、体温が奪われたりするほか、感染リスクもある。組み立て式の寝台「コット」は、地面の凸凹を気にしないで済むため、寝心地が大幅に向上する。商品によっては長い棒状の足を装着できるので、ベンチのように座ってくつろぐこともできる。
 小物類の中にも「使える道具」はたくさんある。東山さんが「一つは持っておくとよい」と薦めるのが、頭からかぶるように着るレインポンチョ。透けない色を選べば雨具としてだけでなく、防寒用の上着、着替えやトイレ、授乳時の目隠し代わりにできる。敷物にしても便利だ。ヘッドランプは避難時に両手が空く上、白いポリ袋に入れれば簡易なランタンになる。小型のナイフは調理やまき割り、枝からの箸作りなどに活躍する。
 東山さんは「アウトドアや災害関連の道具だからと特別視せず、日常生活でも積極的に取り入れて扱いに慣れておいてほしい。用途や使用場所に境目を設けない『フェーズフリー』の考え方で自由に楽しんで」と説く。

 各地でイベント 地元の小中高生が参加 テントの設営に挑戦する子どもたち=浜松市天竜区 キャンプを楽しみながら防災について考える取り組みが各地で行われている。8月中旬、浜松市天竜区水窪町の「よつばの杜[もり]キャンプ場」では地元のNPO法人まちづくりネットワーク「WILL」が防災キャンプを開催した。
 地元の小中学生と高校生が参加し、テント設営やカードに書かれた食材のみで料理するゲームなどに挑戦した。同NPOの平沢文江理事長(57)によると、災害時のように物資が制限された環境を体験してもらい、子どもたちが自ら工夫して困難を乗り切るアイデアを考える点を重視したという。
 掛川市の「ならここの里キャンプ場」で8月上旬に行われたのは、電気自動車(EV)の愛好者グループが中心になって企画したキャンプイベント。EVの蓄電池から給電する「V2L」と呼ばれる機能を活用した。電気こんろや電子レンジ、コーヒーメーカーといった調理家電、冷蔵庫、テレビなどを使って一晩過ごした。
 埼玉県から参加した宮本直美さんは「災害時にはEVから自宅に電気を供給したり、近所の方と電源を分け合って使ったりすることもできるので安心感がある」と話した。

 多機能寝袋、太陽電池シート… お役立ちグッズ続々 アウトドアと防災の両方に活用できる道具=浜松市中区のハンズ浜松店 近年、一般的なキャンプ用品以外にアウトドアと防災の両方の用途で使えるさまざまな道具が登場している。生活雑貨を販売する「ハンズ浜松店」(浜松市中区)に注目商品を聞いた。
 クッション型の多機能寝袋は、自宅や自家用車にクッションとして置いておき、災害時には中に収納した寝袋を引っ張り出して使う。防寒用の毛布や着替えスペースとして活用できる。
 被災時に欠かせない携帯電話の充電に役立つのが、USBポート付きの太陽電池シート。太陽光の下で広げ、ケーブルで携帯電話とつなげばすぐに充電が始まる。重量は約280グラムと持ち運びもしやすい。
 火を使わずに湯沸かしや食品を温めることができるバッグもある。発熱剤と水を混ぜ合わせて発生する高温の蒸気を利用する仕組みで、発熱している部分と食品を入れる部分を分けて衛生的に使えるという。
(文/生活報道部・草茅出、水窪支局・大沢諒、写真/写真部・小糸恵介)
 

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