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訪日客に優しい地域へ 伊東観光協会(伊東市)/稲葉明久会長【キーパーソン・最前線】

 新型コロナ禍で経済的に大きな打撃を受けた観光産業が柱の伊東市。不安定要素を抱えながらも、客の入り込みはコロナ前の水準に戻りつつある。鍵になるインバウンド(訪日客)を中心に現状や課題を聞いた。

稲葉明久会長
稲葉明久会長

 ―近況をどのように認識しているか。
 「インバウンドは大都市圏に集中している。それをいかに地方に分散させていくか。全国的な激しい誘客競争の中で、訪日客に優しい地域であることが重要だ。その点で市内の観光・文化施設『東海館』はまだ十分に外国語対応ができていない。QRコードの活用で訪日客にも館内の説明が分かるようにしたい」
 ―言語のほかに、抱えている課題とは。
 「伊東駅の利用客が荷物を預けられる大型ロッカーが足りない。周辺を周遊してもらうために、スーツケースを置くことができる環境の整備が必要だ。早急に改善すべき問題として協会で対応を進める。人手不足も大きな課題。宿泊施設は需要があっても働き手がいないと、売り止めせざるを得ない。物価高騰の中、各施設は原材料費の値上がりの影響にも直面している」
 ―訪日客対応の実例は。
 「市内の交通事業者が英語対応の紙媒体を作製するなど対応を進めてくれた。協会もパンフレットの充実を図った。来訪者が個々にデジタルで調べ、対面では紙で案内するのが適している。訪日客の中には伊東の印象が良かったというリピーターや、人づてに評判を聞いてやって来る人もいる。伊東を選んで、遠方から足を運んでくれる人たちを市民全体で温かく迎えられる観光地を醸成したい」
 (伊東支局・白柳一樹)

 いなば・あきひさ 大学卒業後、帝国ホテルに勤務。米国留学を経て家業の旅館「陽気館」専務。2019年5月から現職。59歳。

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