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大自在(5月9日)音楽

 2023年は著名音楽家の訃報が多い気がする。音楽誌は追悼特集だらけだ。敬称略で列記すると作曲家バート・バカラック、ギタリストのジェフ・ベック、バンド「シーナ&ロケッツ」の鮎川誠、そしてYMOのメンバーとして世界を席巻した高橋幸宏、坂本龍一―。
 本紙「窓辺」を執筆中の音楽家鈴木惣一朗さん(浜松市出身)は、YMOの二人の死に接し、親交が深い細野晴臣さんの言葉を引いた。「生まれて死ぬことは当たり前のこと、どんなメッセージでもポジティヴに受け止めよう」(4月16日付)。
 坂本さんとのヒット曲「い・け・な・いルージュマジック」で知られる忌野清志郎さんは、09年5月2日死去。14年前の今日、青山葬儀所(東京)で「青山ロックン・ロール・ショー」と銘打った告別式があった。炎天下、弔問の列は1・5キロに及んだ。
 清志郎さんのバンド「RCサクセション」のアルバム「PLEASE」は、伊東市の伊豆スタジオで録音された。1980年にレコード発売。後にCD化され、数年前からサブスクリプションサービスを通じてスマホで聴ける。
 世に出て40年超。楽曲は、若いファンの胸にも刻まれている。清志郎さんの愛と毒気に満ちたメッセージと一緒に。
 人の命は永遠ではない。だが、人の心を打つ楽曲は永遠かもしれない。「PLEASE」で、清志郎さんは歌う。「あの夜はじめて聴いた お前のナンバー くちびるに くっついたまま そのまま」(Sweet Soul Music)。耳から口へ、口から耳へ。音楽は生き続ける。

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