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執行部強化の見方多数 自民議員にアンケート 権力集中回避求める声

 共同通信社が11日までにまとめた自民党議員アンケートで、派閥が政策集団化すれば、総裁など党執行部の力が今以上に強まるとの見方が多数を占めた。自由記述欄で、党執行部への権力集中を避けるため、新たな党内ガバナンス(組織統治)の検討が必要だとの指摘も出た。政治資金の在り方と併せ、今後の党運営についても議論が活発化しそうだ。
 アンケートでは党執行部の力が強まると思うかどうかを質問。「思う」「ある程度思う」が計81%となった。「あまり思わない」「思わない」は計12%だった。
 党四役経験者は「執行部への抑止力を派閥が担ってきた面がある。代替機関の検討が必要だ」と訴えた。中堅の衆院議員は、党執行部の力が強くなりすぎれば「政策や人事が不健全になる」と問題提起した。
 大岡敏孝衆院議員は「党内機構の在り方をしっかり議論すべきだ」と強調した。
 従来の派閥の存在意義が何だったかを複数回答できる形式で尋ねたところ「議員間のコミュニケーションと情報収集」が最多の54%。次いで「各種人事での希望実現」が40%だった。11%が「政治資金集め」を選んだ。
 牧原秀樹元経済産業副大臣は「国民感覚とかけ離れたカネ集めや党総裁選の形骸化など、派閥は弊害が大きすぎる」と指摘した。当選5回の衆院議員は「議員連盟を活性化すべきだ」と語った。

 政治改革への熱量足らず
 法政大大学院の白鳥浩教授(現代政治分析)の話 共同通信社のアンケートで自民党国会議員の回答率が23%にとどまった。リクルート事件に端を発した「平成の政治改革」に比べ、「令和の政治改革」への意欲や熱量が低いことをうかがわせる。党の閉塞(へいそく)感を反映していると言えるだろう。
 これは衆院小選挙区制の導入によって、公認権を持つ党執行部の力が強まったことが影響している。「軽率な発言をすれば、公認を得られない」という恐怖感から党執行部への忖度(そんたく)が広がっているのではないか。
 その中で、一部が実名での回答に応じたのは光明だ。2021年衆院選で初当選した保岡宏武衆院議員は「公認の在り方の見直しが必須だ」と指摘。当選2回の和田政宗参院議員は、政党のガバナンス(組織統治)向上のため「政党法」の制定を提唱した。いずれも建設的な提言だ。
 党総裁の岸田文雄首相は、こうした意見を今後の議論に反映させるべきだ。これまでの首相の姿勢は、政治家の罰則強化など抜本改革に腰が引けているように映る。名ばかりの改革に終われば、国民の政治不信は深刻化の一途をたどるだろう。

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件 自民党の一部派閥で、議員側がパーティー券の販売ノルマを超えて集めた分を政治資金収支報告書に正確に記載していなかったとされる政治資金規正法違反事件。東京地検特捜部は1月、安倍派から多額の還流を受けた国会議員3人ら計10人を立件した。岸田派、二階派の元会計責任者らも含まれる。事件を受け、自民は政治刷新本部を設置し、改革に向けた中間報告をまとめた。安倍、岸田、二階、森山の各派が解散方針を決定した。

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