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伊東商業高ビジネスプラン 地域課題解決へ高評価 地元起業人、育成に期待

 伊東市の伊東商業高が地域課題の解決に向けたビジネスプランの発案で、高い評価を得ている。生徒たちがプランを考え、地元企業などと連携して新商品開発につなげる活動は、地域の将来を担う人材の育成を見据えている。高校生の発想を現実のまちおこしに取り入れながら、地域で若い可能性を育んでほしい。

ビジネスプラン・グランプリの表彰状を米山圭一郎教諭(右)に見せる生徒たち=2021年12月、伊東商業高
ビジネスプラン・グランプリの表彰状を米山圭一郎教諭(右)に見せる生徒たち=2021年12月、伊東商業高

 プランの考案は、3年生が選択で取り組む課題研究「生活に役立つ経済学」で実践してきた。2014年度から始まり、21年度は13人が受講。宿泊施設を起点とした商店街の活性化策、地元産トマト「アイランドルビー」の活用策、廃棄木材に着目したスキンケアアイテム製作の3プランが形になった。いずれも地域の事業者や団体の協力で実現した。
 3プランは、日本政策金融公庫が主催し、全国353校から3087件、県内からは14校38件の応募があった「第9回高校生ビジネスプラン・グランプリ」で入賞。他校の追随を許さない6回連続複数プラン入賞の快挙となった。
 同公庫名古屋創業支援センターの石田雅一所長は「高校生ならではの斬新な発想で、実現可能性が高いプランを考案した」と伊東商業の取り組みを評価した。
 21年春卒業の生徒らが在校中に製菓会社と共同開発し、引き継いだ後輩が同年6月に販売にこぎ着けた「伊豆ニューサマーオレンジラングドシャ」も消費者の好評を得る。初出場した「商業高校フードグランプリ」(伊藤忠食品主催)では県勢初の大賞に輝いた。
 伊東商業は23年4月に市内の伊東高、同校城ケ崎分校と統合し、新構想高校として新たに出発する。現体制での取り組みは22年度が最後になる。21年度の全体リーダーを担う斎藤美咲さんは「コミュニケーション力などを養えた」と話し、統合後の活動継続にも期待を寄せる。
 生徒たちにとっては、企業関係者への連絡や交渉は初めての経験で、苦労も多かった。授業の立ち上げから指導する米山圭一郎教諭(50)は「地域企業の理解があってこそ実現できている」と感謝した上で、「最終目標として将来、生徒たちに地元で起業してもらいたい」と思い描く。
 米山教諭は「短期間の取り組みで終わらせるのではなく、商業を学んだ身として地元に貢献してほしい」と願う。

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