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首相 政倫審開催へ指示 裏金事件「説明責任促す」 安倍派幹部ら難航

 岸田文雄首相は、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、衆院政治倫理審査会の開催を調整するよう党幹部に指示した。焦点の安倍派「5人組」らの意向を確認した上で、出席者を詰める。関係者が14日、明らかにした。同日の衆院予算委員会では、裏金に関わった議員を巡り「自ら説明責任を果たすよう促す。説明責任のありようを踏まえ、政治責任や処分を党として考えていく」と表明。ただ安倍派幹部らの出席を巡る与党内調整は難航しており、曲折が予想される。
 野党は政倫審が開かれれば、裏金の使途について徹底追及する。与野党は衆院政倫審の幹事懇談会を16日に開く方向で調整に入った。野党が実施を求めていた。
 予算委で立憲民主党の山井和則氏は「説明責任なくして再発防止もできない。政倫審に出席しなければ予算委で参考人招致や証人喚問になる」と強調。大西健介氏は2024年度予算案の審議日程に重大な影響が出るとけん制していた。
 首相は、派閥を含む政治団体に外部監査を義務づける法整備に意欲を表明。政治団体の会計責任者が逮捕、起訴された場合に議員本人を処分できるよう、3月の自民党大会で党則を改正する方針も示した。
 野党は、自民執行部による党所属議員への聞き取り調査を厳しく批判。首相は外部の弁護士も参加したとして「お手盛り調査ではない」と反論した。安倍派では派閥パーティーの還流資金を政治資金収支報告書に記載しないよう事務方が指示していたとの報告を受けたとも明らかにした。
 これまで派閥からの裏金還流の実態を明らかにした議員の数を問われ「網羅的に把握していない」と答えた。今国会での政治資金規正法改正に向けて自民のワーキングチームで議論を始めたと説明。「各党との協議をできるだけ早く始めたい」と語った。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体関係者との写真撮影を問題視した一部報道を巡り「政治家である以上、名刺交換して写真を撮り、言葉を交わす。それをもって関係があったとの指摘は当たらない」と反論した。
野党 政活費で「疑惑」追及 衆院予算委  野党は14日の衆院予算委員会で、事実上の「裏金」と称される政策活動費を追及した。2021年衆院選で自民党の甘利明幹事長(当時)が各地の陣営に配った疑惑があると指摘。同じく使途公表不要の内閣官房報償費(機密費)でも、松野博一官房長官(同)が昨年12月の辞任直前にまとまった金額を引き出したのは不自然だとして、使途の公開を迫っている。
 甘利氏について、立憲民主党の井坂信彦氏は①政治資金収支報告書によると、幹事長在任中の21年10月、自民から政策活動費3億8千万円を受け取った②当時は衆院選期間③選挙戦の最中、政策立案や調査研究目的の支出は考えにくい-と分析。陣中見舞いとの見方から「選挙以外に一体何にお金を使うと思っているのか」と訴えた。
 松野氏の機密費引き出しは、共産党が情報公開で入手した関連文書に基づき追及する。
報告書訂正 高額飲食代も 松野氏、3年で590万円  自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡る各国会議員による政治資金収支報告書の訂正では、派閥からの寄付収入とともに、支出として「飲食代」や「会合費」を追加した政治団体もみられる。松野博一前官房長官の団体がイタリア料理店に約38万円など3年で計約593万円を計上するなど高額に上るケースもあり、適切に記載していなかったことに丁寧な説明が求められそうだ。
 裏金の使途は国会で焦点の一つになっている。14日の衆院予算委員会では、立民議員から自民の所属国会議員へのアンケートについて「肝心の使い道は全く分からないままだ」との声が上がった。
 2020~22年分の政治資金収支報告書で、松野氏が代表を務める「松風会」は、安倍派の政治団体からの寄付収入計865万円を訂正した。収入増に伴い、「会合費」支出として20年に2件、21年に4件、22年に41件を追加した。
 うち28件が1回の支出で10万円を超えており、赤坂の料亭に約30万円、六本木のワインバーに約27万円などを支払っていた。松野氏の事務所は「収入を記載していなかったので支出も書くことができず、隠す意図はなかった」と回答した。
 196万円の寄付収入を訂正した塩谷立元文部科学相(衆院比例東海)の「塩谷政治経済研究会」は20年と22年で計16件、約102万円の「交際費(飲食代)」を追加訂正。赤坂の老舗うなぎ店に約12万円を支出するなどしていた。
 事務所には訂正について尋ねる質問状を送ったが、期限までに回答はなかった。

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