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「裏金」真相解明へ 覚悟は見えず 自民、安倍派議員ら聴取終了 アンケート2問、5分程度で聞き取り 野党批判「お手盛り」

 自民党が派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、解散を決めた安倍派の議員らへの聴取を終えた。身内の党執行部が主体の調査に対し、野党は「お手盛りだ」と批判を強める。自民所属の全国会議員を対象に行ったアンケートも、設問はたった2問。党の亀裂を嫌い、厳しい処分に尻込みする岸田文雄首相に、真相解明への覚悟は見えない。

政治資金パーティー裏金事件を巡り、自民党が党所属の全国会議員を対象に配布したアンケート
政治資金パーティー裏金事件を巡り、自民党が党所属の全国会議員を対象に配布したアンケート
裏金事件を巡る自民党の対応
裏金事件を巡る自民党の対応
政治資金パーティー裏金事件を巡り、自民党が党所属の全国会議員を対象に配布したアンケート
裏金事件を巡る自民党の対応


 ■キーパーソン外す
 「党として実態把握に努め、説明責任、政治責任について対応する」
 9日、首相は衆院予算委員会で語気を強めた。裏金事件で失った政権の信頼回復へ「火の玉になる」と訴えた首相の指導力に、立憲民主党の渡辺創氏が疑義を呈したためだ。
 2日から始まった自民の聞き取り調査は森山裕総務会長を筆頭に、かつて「政治とカネ」問題で経済産業相を辞任した小渕優子選対委員長ら執行部6人が担った。外部の弁護士が同席したとはいえ、質問するのは主に執行部。5分程度で終わるケースもあった。
 安倍派に強い影響力を持つ森喜朗元首相はヒアリングされなかった。「組織的な裏金づくりのキーパーソン」(閣僚経験者)とささやかれたが、執行部の一人は「調査対象が際限なく広がるから」と渋り、外した。
 一方、アンケートには自民内にも「新たな事実が出てくるわけがない」(若手)と懐疑的な声が少なくなかった。2018~22年の派閥の政治資金パーティーに関し、政治資金収支報告書への不記載の有無と、記載しなかった場合の金額を尋ねる2問だけだからだ。

 ■ぬるい火の玉宣言
 「聞き取り調査の態勢は真相究明とは程遠い」。立民の泉健太代表は記者会見で突き上げた。共産党の穀田恵二国対委員長も「これではアリバイ作りのザル点検だ。国民は許さない」と憤る。
 自民執行部は調査結果がまとまり次第、処分の検討に入る。焦点は、安倍派の塩谷立座長(衆院比例東海)や高木毅事務総長ら同派幹部と、二階派を率いた二階俊博元幹事長の処遇だ。
 党則は厳しい順に、除名、離党勧告、党員資格停止、党役職停止などの処分を定めている。茂木敏充幹事長は1日、BSフジ番組で「刑事事件で立件されるとだいたい離党勧告している」と言及した。安倍派幹部や二階氏は立件されていない。
 当の首相は離党勧告に否定的で、周囲に「党が分裂するような事態はまずい」と語る。
 9月の党総裁選での再選を目指す首相だが、引き付けたいのは世論なのか、それとも党内の支持なのか。いまいち分からない。そもそも「火の玉」宣言は偽りなのか。
 国民民主党の榛葉賀津也幹事長(参院静岡選挙区)は痛烈に皮肉る。「ずいぶんぬるい火の玉だ。素手で触れるよ」

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