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テーマ : 政治しずおか

カーボンニュートラル 市役所が率先 支援強化【検証 浜松市予算案㊥】

 公共施設や公用車といった市有施設の運営に関し、浜松市が2023年9月に公表した脱炭素化の取り組み方針。政府が掲げる50年までに温室効果ガスを実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現に向け、太陽光発電やLED照明の導入目標など政府実行計画に盛り込まれた事項を網羅し、「全国自治体で特に意欲的な目標を掲げた」(市カーボンニュートラル推進事業本部)点が特徴だ。

公用車の電気自動車を充電する職員。市は充電設備を増設するなど市有施設の脱炭素化に向けて取り組みを強化する=13日午前、浜松市役所
公用車の電気自動車を充電する職員。市は充電設備を増設するなど市有施設の脱炭素化に向けて取り組みを強化する=13日午前、浜松市役所

 「省エネを進める技術、再生可能エネルギーの生産、豊富なCO2吸収源という点で全国のどこにも負けない」-。中野祐介市長は9日の24年度当初予算案の発表記者会見で、ものづくり産業が集積し、全国トップ級の日照時間と広大な森林面積を誇る立地特性を強調し、「市役所が率先的に脱炭素の取り組みを進める」と力強く語った。
 市の市有施設運営に伴うCO2排出削減量は21年度に13年度比26%減と順調に推移する。市は新年度、30年度までに同51%減とする目標をさらに引き上げたい考えで、対応の強化は喫緊の課題だ。
 24年度当初予算案は市有施設の脱炭素化関連費用として前年度当初比2・5倍の20億円を計上。道路照明灯や小中学校グラウンドなどのLED化を加速し、公用車の電気自動車導入に向けて市役所に充電設備も増設する。移転する中消防署高台出張所もエネルギー消費量実質ゼロの建物「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)」化を図り、全庁での取り組みを推進する。
 一方、民間に目を向けると、浜松商工会議所が行ったカーボンニュートラルに関する調査で「既に取り組んでいる」と回答した会員企業は59・4%だった。二の足を踏む要因は人材や知識、資金など経営資源の不足で、市内輸送機器関連の事業者も「必要性は認識するが、具体的な進め方が分からない」と漏らす。
 市は地域一丸で脱炭素を進めるため、中小企業、一般家庭など民間への支援強化策も打ち出す。中小企業向けには常設の相談窓口を設け、省エネ関連などの設備投資のために金融機関から融資を受けた際、手数料を補助する事業も開始する。家庭向け省エネ機器導入助成も前年度当初から約6千万円を増額し、市民の意識醸成を図る啓発事業も展開する。
 同事業本部の担当者は「脱炭素のキーワードである『知る』『測る』『減らす』の一連の流れをきめ細やかに支援する」と話した。

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