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テーマ : 裾野市

裾野トヨタ未来都市 第1期エリア完工まで1年 浮かぶ輪郭、高まる期待

 トヨタ自動車が裾野市に建設する次世代技術の実証都市「ウーブン・シティ」で、最も早く開業する第1期エリアの建築工事完成まで1年になった。実証実験の内容はまだほんの一部しか明らかになっていないが、現場では工事が進み、建物の輪郭が出現している。市による周辺の再開発事業も本格化し、地元では国内外から注目される未来都市への期待が日増しに高まっている。

1年後の完成に向け、建築工事が進むウーブン・シティの第1期エリア=8月上旬、裾野市
1年後の完成に向け、建築工事が進むウーブン・シティの第1期エリア=8月上旬、裾野市
ウーブン・シティ建設地
ウーブン・シティ建設地
1年後の完成に向け、建築工事が進むウーブン・シティの第1期エリア=8月上旬、裾野市
ウーブン・シティ建設地


 第1期エリアの本体建築工事が始まったのは2022年11月。9カ月がたち、中層建築の骨組みが周辺道路からも確認できるようになった。事業を主体するウーブン・バイ・トヨタ(東京)によると、「第1期エリアは24年8月ごろに建物が完成し、翌25年から順次実証実験を始める計画に変更はない」という。
 ウーブン・シティはモビリティー(移動)のためのテストコース。地上は「自動運転車」「歩行者」「歩行者と低速で移動するパーソナルモビリティー」の三つの道に分け、地下に「物流」の道を整備する。事業参画を公表したのはENEOS(エネオス)や日清食品、リンナイなど数社にとどまり、具体像はなかなか見えてこない。だが、建設地近くの自動車部品メーカーの男性社員(54)は「建物ができてくるのを見ると、いよいよだなと感じる。どのようなまちになるのか楽しみ」と話す。
 市は23年度、最寄りとなるJR岩波駅の周辺整備事業を着工した。10年間の短期と、中長期に分けて再開発する。駅とウーブンを結ぶ約500メートルの接続道は自動走行する次世代型モビリティーの通行を想定して拡幅し、駅前広場や観光交流拠点施設を整備する。
 地元の岩波区では8月、住民有志が駅周辺の環境美化活動を始めた。来訪者を歓迎するために地区を花で彩り、河川沿いにホタルが舞う環境を目指す。田中正延区長(74)は「人口が減少する中、ウーブン・シティができれば、多くの人が訪れるようになる。自分たちもできることから始め、活気ある岩波を取り戻したい」と願う。
 一方、複数の建設業者によると、ウーブン・シティから大量の建設残土が発生し、別の現場の処分場が見つからなかったり、処理費用が高騰したりする影響も出ているという。
 (東部総局・杉山諭)

 ウーブン・シティ 東名高速道路裾野インターチェンジ近くのトヨタ自動車東日本工場跡地に建設する。敷地面積は70万8千平方メートル。第1期エリアは南端の約5万平方メートルで自動運転や水素エネルギー、健康食、物流システムなどの実証実験に取り組む。企業や個人の開発者、子育て世代、高齢者らが実際に生活しながらアイデアを共有して新しい技術・システムを発明する。エリアを区切って順次建設し、将来的には2千人以上が居住するという。

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