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テーマ : 政治しずおか

予算成立へ 駆け引き活発 自民「頼みの綱」、野党は大物狙い

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件に関する衆院政治倫理審査会を巡り、与野党の駆け引きが活発化した。2024年度予算案成立を最優先とする岸田文雄首相の意を酌み、自民は政倫審開催とセットで審議促進を確約させる「頼みの綱」にする。立憲民主党は51人出席という高めの要求を突き付け、安倍派幹部や二階俊博元幹事長といった大物を引き出そうと揺さぶりをかけた。

 ▽動かす弾 
 「裏金をつくった衆院議員51人全員が出席して説明をしてもらいたい」。16日の衆院政倫審幹事懇談会で、野党筆頭幹事を務める立民の寺田学氏が訴えた。3月中の予算案成立を確実にしたい政府、与党の足元を見る立民は「拒否するなら日程の話はできなくなる」(安住淳国対委員長)とけん制を強める。首相は、野党の日程闘争を警戒し「政倫審は国会を動かす弾にする」と周囲に語り、党幹部に開催に向けた調整を指示。15日には記者団に「議員が自ら置かれた立場をよく省みて、説明を尽くすよう促す」と踏み込んでみせた。
 焦点は出席者の範囲だ。自民内では、政治資金収支報告書に不記載があった安倍派、二階派の現職82人のうち全衆院議員51人の出席要求は「高めのボール」(国対筋)と受け止める。安倍派で政権要職を占めた高木毅前国対委員長ら「5人組」と、かつて会長代理だった塩谷立(衆院比例東海)、下村博文両氏に加え、二階氏を合わせた計8人が「本丸」(ベテラン)と踏む。

 ▽幕引き期待
 政倫審開催に前向きな首相とは裏腹に、この8人が出席要求に応じるかどうかは不透明だ。
 事務総長経験者の松野博一前官房長官は「依頼があれば考える」としながら「出席理由や対象の選定も含めて総合的に判断する」と留保を付ける。萩生田光一前政調会長も「明確な出席基準が公表されて、その対象になるのであれば拒むものではない」と言葉を選ぶ。
 安倍派関係者によると、前事務総長の西村康稔氏や参院側を率いた世耕弘成氏は2人と同じく「条件が整えば出席する」との意向を漏らしている。その条件とは「原則非公開の審査会を公開に切り替えるかどうか」と「野党が裏金事件で何を質問したいのか」の2点が中心だという。
 安倍派幹部の一人は「非公開では疑惑が残ったと批判されてしまい、追及が終わらない」と懸念し、公開の政倫審での幕引きを期待する。ただ自民重鎮は、答弁が不安視される二階氏を念頭に「公開されてさらし者になるのを危ぶむ声もある。条件づくりに非常に苦労している」と明かす。
 立民の泉健太代表は記者会見で「開催を妨げるなら、証人喚問や次の手段を考えなければならない」と先の展開を見据えた。政倫審開催に後ろ向きと取られれば、低空飛行が続く内閣支持率はさらに降下しかねない。自民幹部は「駆け引きはこれからが正念場だ」と引き締めた。

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