台湾有事の避難原案判明 政府 先島諸島から九州、山口へ
政府が台湾有事を念頭に検討を進める沖縄県・先島諸島から九州各県と山口県に約12万人を避難させる計画の原案が判明した。複数の関係者が26日、明らかにした。先島諸島のうち八重山地域の住民は原則として九州北部と山口の5県、宮古地域は南九州3県で受け入れる内容。今後、各県と協議を進めて移動手段や県別の避難人数を確認し、2024年度中の決定を目指す。
政府は今後、パートナーとなる避難元と避難先の自治体を確定することで、協議を加速させたい考えだ。
関係者によると、島から九州への輸送にはスピードを重視し、主に航空機を使用。八重山地域の石垣市と竹富町、与那国町の住民は福岡空港へ、宮古地域の宮古島市と多良間村からは鹿児島空港へ移動する。持病や体調不良などの事情で空路での移動が困難な人のため、両地域から船舶で鹿児島港に避難するルートを確保する。
福岡空港からは主に福岡、佐賀、長崎、大分、山口各県、鹿児島空港からは主に鹿児島、熊本、宮崎各県の自治体に避難することとする。
政府は計画策定に先立ち、昨年末から九州・山口各県の受け入れ可能人数の調査を始めた。各県に①ホテルや旅館、公営住宅などの宿泊施設②食料や水、毛布など備蓄している生活物資③利用できる医療機関-について報告を求め、今年3月までに結果を集約する。今後は両空港からの距離も踏まえ、具体的な避難先となる市町村や人数を決定。各県が先島諸島5市町村と協議を重ね、1カ月程度の滞在を可能とする「初期的計画」として24年度中にまとめる方針だ。
台湾有事 中国が不可分の領土だとする台湾を併合するため、軍事衝突に発展する事態。習近平指導部は中台統一を政治目標に掲げ、武力行使を辞さないとの立場を明らかにしている。台湾周辺に人民解放軍の航空機や艦艇の接近を繰り返し、威嚇を強めており、有事への危惧が近年強くなっている。実際に戦闘になった場合、戦況は米軍の軍事行動次第で大きく変化するとみられるが、大陸と台湾を隔てる台湾海峡周辺だけでなく、日本を含めた東アジア一帯に影響が広がる可能性が高い。