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谷内六郎さんの「西洋館の思い出」 静岡・谷島屋呉服町本店のあの壁画

谷内六郎①.JPG静岡市の繁華街・呉服町通りで唯一の単独店舗の書店、谷島屋呉服町本店が移転するという記事が掲載されました。ツイッターなどでも、「寂しい」「思い出の店」というコメントが見掛けられました。さて、店のシンボルが、叙情的なモザイク壁画。呉服町の谷島屋さんというと、あの壁画を思い出される方も多いでしょう。(旭)

谷内六郎②.JPG原画の原画を描いたのは、週刊新潮の表紙絵を1951年から26年間担当したことで知られる画家の谷内六郎さん(1921~1981年)。この壁画も週刊新潮の表紙絵がモチーフとなっています。店には、1978年の改装記念として新潮社が贈ったことが示されています。当時、新潮社は絶好の「広告塔(壁?)」として、書店の外壁や内壁に谷内さんの絵を題材にした壁画をいくつか制作していました。
新潮社社員として谷内さんと長年親交があった故鈴木文武さんの回顧録「思い出の記」(非売品)によると、週刊新潮の表紙絵を題材にした壁画は、他にも都内の書店などに現存しています。よく知られているのは、東京・表参道交差点にある「山陽堂書店」でしょうか。細長い壁に、傘に空いた穴を眺める子ども2人が描かれています。個人的には、大学時代を過ごした東京・八王子市の「くまざわ書店八王子店」の壁画も思い出深いです。

谷内六郎③.JPG谷島屋呉服町本店の壁画は1977年11月、実際に谷内さんが店を訪れてイメージし、1968年の表紙絵の「西洋館の思い出」を基に新たに原画を描き直したのだそうです。改装オープン時には原画展も開かれ、再びご本人が来場したといいます。周りの木々が色付いたレンガ造りの洋館の窓から、男の子と女の子が顔をのぞかせる、谷内さんらしいほほえましい絵です。
首都圏以外の書店では、谷島屋のほかに広島と富山にあったそうですが、いずれの書店も閉店。広島の書店の外壁にあった壁画は、撤去されてしまいました。

谷内六郎④ .JPGビルの所有会社も、「貴重な物」と谷島屋閉店後の保存に前向きな姿勢です。いつまでも残ってくれるといいのですが...

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