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供養の在り方に新提案 てのひらぼせきIL(イル) プロジェクトチーム「SMOW」【静岡ものづくり最前線】

 継承が困難で墓じまいが相次ぐ現状に着目し、自室など手元に置ける小さな墓石をデザインした。両手で包み込むような形状は、日常から故人をしのぶ気持ちに寄り添う仕草を体現した。供養の新たな在り方を提案している。

手のひらサイズに設計された墓石
手のひらサイズに設計された墓石

 墓石はしずく型の手のひらサイズで、生活に溶け込むシンプルなデザインとした。底部には納骨する穴がある。素材はいずれも国産で、青みと高級感ある磐梯みかげ、白くて硬質な稲田石、桜色の模様が華やぐ万成石から選べる。墓じまいで残った墓石からの成形や、彫り込みも注文可能。
 国産の石材は採石量が中国などと比較して圧倒的に少ない上、墓石の大きさで加工できるのはわずか数%とされる。石材営業の経験がある榊原亮さん(沼津市)とデザイナー望月悟さん(富士宮市)は、墓石に適さなかった石の活用策として小型化を選んだ。職人の手作業とはいえ、価格は一つ17万1600円(税込み)と決して安くない。榊原さんは「国産石材の価値を落とす訳にはいかない。製造技術とデザインの先進性で、小さな商品に付加価値を付けた」と説明する。
 昨年11月にECサイトで販売を始め、主に実家を離れて都市部に住む人から注文があった。供養業界の企業にも販売網を拡大していく。

 企業情報 SMOW(スモウ)はNOWHERE(沼津市下香貫2031の29)など県東部の3社による共同事業。石製品の企画販売を手がける。総従業員9人。

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