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「家族で受け継ぐ」焼き鳥のたれ、フランス進出 沼津・串屋 日本食修行の受け入れも

 沼津市岡宮の焼き鳥料理店「串屋」の2代目社長土屋亜里沙さん(43)が、創業者で父の孝男さん(76)から受け継いだ「焼き鳥のたれ」でフランス進出に動き出す。日仏の女性経営者をつなぐ民間プロジェクトの一環で、既に同国のリゾートホテルに販売。フランスから料理人が“焼き鳥修行”に訪れる交流も始まった。

創業者の土屋孝男さん(中)から、焼き鳥の焼き方を学ぶアンジェ・ドレミューさん(左)=1月中旬、沼津市岡宮の串屋
創業者の土屋孝男さん(中)から、焼き鳥の焼き方を学ぶアンジェ・ドレミューさん(左)=1月中旬、沼津市岡宮の串屋
自社の焼き鳥のたれについて語る土屋亜里沙社長(左)と寺田望代表=2023年12月、沼津市役所
自社の焼き鳥のたれについて語る土屋亜里沙社長(左)と寺田望代表=2023年12月、沼津市役所
創業者の土屋孝男さん(中)から、焼き鳥の焼き方を学ぶアンジェ・ドレミューさん(左)=1月中旬、沼津市岡宮の串屋
自社の焼き鳥のたれについて語る土屋亜里沙社長(左)と寺田望代表=2023年12月、沼津市役所


 1月、パリで飲食店2店を経営する料理人のアンジェ・ドレミューさん(24)が、焼き鳥修行のために串屋の門をたたいた。“師匠”を務めた孝男さんから3日間、串の刺し方や焼き方の指導を受けた。ドレミューさんは「以前から日本料理に興味があり、技術を正しく学びたかった。たれもフランスの物と違い、こくがある」と目を輝かせた。
 土屋さんとドレミューさんを結んだのは、三島市の「ビズホープ」(寺田望代表)が手がけるプロジェクト「ムスビ・ジャポン」。2017年から現地の女性コーディネーターを介し、日仏両国の起業家をつなげる事業を展開してきた。コーディネーターとつながりのあったドレミューさんが、短期修行を申し出て実現した。
 土屋さんは18年から度々渡仏。コロナ禍で一時、中断したが昨年から本格的に再開し、同国コルシカ島の高級リゾートホテル「グランドホテル・ド・カラロッサ」へ焼き鳥のたれの輸出も始まった。土屋さんは「『家族で受け継ぐソース』という点に興味を持ち、背景を理解してもらった。沼津の一中小企業が『日本代表』として見られている」と気を引き締める。
 プロジェクトは今後もフランスから起業家や経営者を招き、実際に静岡県東部で仕事や文化を実体験してもらう計画。寺田代表は「料理人や芸術家など日本文化に関心の高い人が、プロの視点で実体験したいという需要はある。地方にも好機はあり、受け入れ態勢を整えれば、ビジネスにつながる」と期待する。
(東部総局・尾藤旭)

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