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投資用不動産問題「道険し」 スルガ銀 アパート・マンション融資 被害弁護団と見解相違

 アパートやマンションなど投資用不動産を巡るスルガ銀行(沼津市)の不正融資問題で、被害弁護団と同銀行の交渉が難航している。東京地裁で調停を進めるが、「類型による集団的な解決」を求める弁護団と、「個別事情が異なるため一律解決は難しい」とする銀行側の主張は平行線をたどったままだ。金融庁が同銀行に業務改善命令を出してから5年。シェアハウス向け不正融資問題が解決した一方で、投資用不動産を巡る「アパマン問題」は長期化の様相を呈している。

スルガ銀行の「アパマン問題」について記者会見する被害弁護団=11月下旬、東京
スルガ銀行の「アパマン問題」について記者会見する被害弁護団=11月下旬、東京
スルガ銀行の説明、弁護団の意見
スルガ銀行の説明、弁護団の意見
スルガ銀行の「アパマン問題」について記者会見する被害弁護団=11月下旬、東京
スルガ銀行の説明、弁護団の意見

 「引き続き、1日でも早い解決を目指したい」。11月9日、オンラインで決算発表会見に臨んだ加藤広亮社長はアパマン問題への対応を問われ、現況を説明した。加藤社長の発言を踏まえ、同22日には詳細な対応状況を公表。「早期解決案の提示」「任意売却支援等による債務者負担の軽減」「個別案件に応じた判断」の三つの方針を明らかにした。
 これに対し、弁護団は29日に東京で記者会見を開き、同銀行の対応を強く批判した。三つの方針をはじめ銀行側の公表内容に9項目にわたって反論する声明を発表。団長の山口広弁護士は「スルガ銀行の記載は事実と異なる。印象操作を行うもので株価にも影響を与える」と語気を強めた。
 弁護団はシェアハウス問題の被害救済に追随する形で2021年に結成。書類改ざんなどの不正が確認された物件の交渉を受任する。同銀行と組織的に交渉するのは現在864物件。長年にわたり苦しい生活を強いられる債務者のため、早期解決を目指す方針は銀行側と同じだが、40回を超える交渉を重ねながら全面解決には至っていない。
 シェアハウス問題は所有者が土地や建物を第三者に譲渡すれば、ローン返済を免除する「代物弁済」で集団的な調停が成立した。ただ、アパマン問題について、同銀行は組織的な書類改ざんやずさんな融資審査が明らかになったシェアハウス問題とは「実情が異なる」とする。すべての不正に行員が関わっていたわけではなく、不動産業者らが一方的に主導した物件も含まれているとみられ、個別検討を前提にした問題解決を目指す方針だ。
 (東部総局・杉山諭)

スルガ銀の主張に被害者反発も
 スルガ銀行が示した「アパマン問題」の早期解決案は「銀行側の不法行為責任が訴訟でも認定される可能性が高い案件は、融資経緯等の解明に積極的に協力する」としている。弁護団受任の24件を抽出して調べたところ、相場の適正価格より高く購入した「高値つかみ」は8件。このうち、レントロール(不動産の賃貸借条件一覧表)改ざんに銀行側が関与した可能性が「高い」と確認したのは現時点で2件だったという。
 また、国内の不動産市況は上昇傾向にあり、借入金返済負担を減らすため、同銀行は物件の任意売却を支援している。第三者の業者を通じて価格を伝え、所有者が物件を売るなどした結果、この1年間に64物件が弁護団による組織的交渉先から外れたとしている。
 これに対し、弁護団とともに被害者団体が声明を発表。「被害者側が行員の関与を立証することは極めて困難。全件に対して積極的に融資経緯等の解明に協力すべき」「スルガ銀行の不正融資で高値つかみとなっている物件が多く、ほとんどが任意売却支援では解決できない」などと訴えた。

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