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拠点病院「助かる命、全力で」 静岡県総合防災訓練、課題見極め 

 島田市、牧之原市、吉田町、川根本町で実施された4日の静岡県総合防災訓練。災害時の医療体制や物資輸送など各種訓練を展開し、関係者と地域住民が対応手順と課題を見つめ直した。新型コロナウイルス禍で、感染症対策を踏まえた避難所開設訓練も行った。

訓練参加者のトリアージをする医療関係者ら=4日午前、島田市立総合医療センター(写真部・田中秀樹)
訓練参加者のトリアージをする医療関係者ら=4日午前、島田市立総合医療センター(写真部・田中秀樹)


 ■確実なトリアージが鍵
 「クラッシュ症候群、赤です」。島田市立総合医療センター内に設けられたトリアージ(傷病者の治療優先度判定)ゾーンでは、医師が患者の状況を確認し、すぐに治療が必要な重症ゾーンに運び込んだ。
 同センターは災害拠点病院に指定され、藤枝市や吉田町などの隣接市町からも重症者が運ばれる。ただ、島田市内には患者を災害拠点病院につなぐ救護病院がない。学校など公共施設に開設される救護所からの搬送に加え、直接来院する負傷者もいるとみられ、多くの被災者が押し寄せる可能性がある。
 同センター病院事業管理者の青山武医師(循環器内科)は「災害拠点病院は重症者の処置が最優先」と強調。院外には軽症者ゾーンを設けるが、「被災状況によっては軽症者の治療ができなくなることもある」と話した。
 センターの災害対策本部では、DMAT(災害派遣医療チーム)などが広域搬送調整に当たった。県の第4次被害想定の重症者数を踏まえると、処置を終えた重症者を入院させるための病床数が不足する。DMATの松岡良太医師(循環器内科)は「搬送していかなければ病院はさらに患者であふれる」と指摘。「ヘリコプターなど搬送手段を確保できるかも課題」と述べた。
 災害拠点病院の負担軽減には、主に軽症者の応急処置を担う救護所の役割が重要となる。島田市の島田一中では地元の医師や住民が救護所開設・運営訓練を行った。市医師会の松永和彦会長は「助けられる命を全力で助けるという役目を果たすためにも、確実なトリアージが不可欠」とし、「訓練を重ねることに加え、住民の関心を高める工夫や備蓄のさらなる増強など全体の底上げも必要」と今後を見据えた。

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