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参画期待も「候補不足」 地域の要職担う機会を【地方議会と女性 第3章 “均等”への道③】

 「次回選挙にはぜひ女性に出てほしいが、なかなか手を挙げてもらえない」-。県内の市としては唯一、議会に女性議員がいない下田市。この夏、県内女性市町議員によるネットワーク組織「なないろの風」が同市で開催した啓発キャラバンで、市議会の男性議員4人はこう訴えた。

下田市で開かれた啓発イベント。女性議員への期待感が示されるとともに、「候補がいない」との声も漏れた=7月、同市
下田市で開かれた啓発イベント。女性議員への期待感が示されるとともに、「候補がいない」との声も漏れた=7月、同市

 会場を埋めた女性に交じった4人は、昨年7月、市議会が女性や若者の議会参画促進などを目的に立ち上げた議会改革検討会のメンバー。席上では、議会としての問題意識の高まりに期待が寄せられた一方、なり手不足は解決の見えない課題として議論に影を落とした。
 同市議会は定数13人、現職の平均年齢は68歳超。「男性のみでは審議内容も偏る。子育てや教育などの議論は不十分」。メンバーの中村敦市議(54)は危機感を募らせる。検討会は地域の若手経営者や女性と意見交換を進め、立候補の相談などにも乗る構えだ。
 一方のなないろの風は、2014年7月から市民団体をベースに活動する女性市町議員らが連携し、女性議員増に向けた啓発活動を行う。メンバーは18人。県内各地で立候補の経緯や議員の仕事を伝え、組織のない女性の立候補を支援する。現メンバーには、啓発イベントへの参加を機に議員を志した人もいる。
 女性議員割合が23・1%と県内の町として最も高い吉田町には、なないろの風と同時期に発足した支援組織「吉田女子会リボン」がある。代表は当時同町でただ一人の女性議員だった元町議大塚邦子さん(65)。現職を務めつつ、地域活動に実績のある女性ら3人を当選につなぎ、同町は一時女性議員3割を実現した。
 「政策立案から初めての街頭演説まで、立候補の準備に伴走してもらった」と2期目の蒔田昌代町議(57)。女性として同町で2人目の中学校PTA会長を務めたが、議員の仕事は視野になく、「一緒にやろうという誘いと、具体的な支えが大きかった」と話す。
 女性議員を増やすには地域活動などの場での底上げも必要だ。県男女共同参画白書によると、下田市には21年4月時点で女性自治会長がいないほか、市の審議会等の女性割合も16・6%と県内市町で最低。市議の一人は「まずは公的立場で発言できる女性を増やさないと、議員候補は増えない」と指摘する。
 女性議員の割合が6・25%と下田市に次いで低い静岡市で、地域活動に関わる女性(50)は「女性が地域で主体的に意見を言うことに、抵抗感を示す男性はいまだに多い。そうした意識を変えていかなくては」と感じている。

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