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避難の段階的変化課題確認 静岡県原子力防災が図上訓練

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で2年ぶりに開かれた31日の県原子力防災訓練の図上訓練。原発事故の広域避難は事故の進展度合いによって住民が取るべき行動が段階的に変化し、対応が複雑となる。今回の訓練はコロナ禍後に初めて原子力防災担当になった職員も多く、参加者からは各班の機能や役割分担の可視化などの課題が挙がった。

浜岡原発の重大事故を想定したモニタリングや避難状況を確認した図上訓練=31日午後、牧之原市のオフサイトセンター
浜岡原発の重大事故を想定したモニタリングや避難状況を確認した図上訓練=31日午後、牧之原市のオフサイトセンター

 大規模地震との複合災害が起きた場合、浜岡原発の原子炉の冷却機能が全て失われる全面緊急事態が発生すると、発電所から5キロ以内の御前崎市や牧之原市の一部で住民が長野県に避難を開始する。放射性物質の放出が始まると放射線量のモニタリング結果に応じて、31キロ以内の対象市町で圏外避難が必要になる。
 31日の訓練では、現地の対応拠点となる牧之原市のオフサイトセンター(県原子力防災センター)に関係機関の職員が参集し、空間放射線量のモニタリングや避難決定までの手順を確認した。住民安全班を担った内閣府と11市町の職員19人は、道路啓開状況を踏まえた避難路の決定や移動手段の調整を行った。
 同班は約半数が初参加。班の立ち上がりに時間を要したことを踏まえ、班長を務めた内閣府原子力防災担当の志村和俊地域原子力防災推進官は「役割分担を一目で分かるよう可視化して掲示しておく必要がある」と反省点を挙げた。訓練後、各市町の広域避難計画の確認など事前準備や、日ごろの関係構築の重要性も共有した。
 昨年4月に原子力担当になった吉田町防災課の山本和樹主任(33)は「避難行動が通常の災害のように一様ではなく、どう住民に周知していくのか悩ましい」と懸念する。一方、図上訓練を初めて経験し、「全体の流れを把握することができた」という。4日の実動訓練に向けて再度流れを整理し、「住民の疑問に的確に答えられるようにしたい」と気を引き締めた。

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