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浄水発生土 園芸用土へ 加工や販売の仕組み構築 静岡県企業局、業者と契約

 静岡県企業局は2024年度、工業用水の浄水工程で出る「浄水発生土」を有効活用する取り組みに着手する。現在は大半を産業廃棄物として処分しているが、民間企業の協力を得て園芸用土に加工、販売する仕組みを構築する。年間約1億5千万円の処分費をゼロにすることを目指す。

厚原浄水場に保管されている浄水発生土。園芸用土に加工、販売する取り組みを始める=富士市
厚原浄水場に保管されている浄水発生土。園芸用土に加工、販売する取り組みを始める=富士市


 有効活用するのは厚原浄水場(富士市)の浄水発生土。公募型プロポーザル方式でこのほど、大阪市の造園業者と契約した。浄水場内に新たに発生土の加工装置を設置し、運転や維持管理、販売までを一貫して手がける。今年10月の稼働を目指す。
 「浄水発生土の処分費用が経営を圧迫し、長年の懸案だった」。企業局水道企画課の担当者はこう指摘する。
 厚原浄水場で生じる浄水発生土は過去5年間の平均で年間約8800トン。このうち有効利用されているのは約1千トンにとどまり、残りは産業廃棄物として処分している。これまでは脱水した浄水発生土を建設用資材や園芸用土の原料として販売してきたが、購入者が自ら砂利や肥料を加える必要があり、引き取り手が少なかった。
 今回の取り組みでは、肥料の配合や園芸用土の販売で業者の技術やノウハウを活用し、販売収入も見込む。契約期間は39年度まで。この間に発生土約6万トンを有効活用し、産廃処分費約12億円の削減を予定しているという。資源として再利用することで環境負荷の低減につながる利点もある。
 水道企画課は「経済効果が確認できれば、都田浄水場(浜松市)や寺谷浄水場(磐田市)といった他の浄水場でも同様の取り組みを展開していきたい」としている。
 (政治部・森田憲吾)

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