伊藤美誠、陳夢に０―３　卓球ＷＴＴファイナル

　卓球の世界ツアーで、世界ランキング上位選手で争う女子のＷＴＴファイナル第２日は１６日、名古屋金城ふ頭アリーナで行われ、シングルス準々決勝で世界ランキング１０位の伊藤美誠（スターツ、磐田市出身）は東京五輪女王で同３位の陳夢（中国）に０－３で敗れた。

　８組が出場するダブルスの１回戦で木原美悠、長崎美柚組（木下グループ）は世界ランキング１位の田志希、申裕斌組（韓国）を３－２で破り、準決勝に進んだ。

　▽シングルス準々決勝
　陳夢（中国）　３（１１―８　１１―２　１１―６）０　伊藤（スターツ）
　▽ダブルス１回戦
　長崎　木原（木下グループ）　３（１１―６　６―１１　２―１１　１１―７　１１―３）２　田志希　申裕斌（韓国）

五輪シングル代表入りの好機逸す　伊藤は過去６戦全敗だった陳夢に完敗した。第１ゲームこそ長いサーブや、早い打点のバックハンドが効いて８－１１と競ったが「（内容が）いい中で取られて、陳夢選手が少し楽な気持ちになった」。第２ゲームからは速攻やサーブのミスが続いて失速し、目を赤らめた。
　パリ五輪シングルス代表２枠を巡る国内選考レースで３位につけ、３４・５点差で２位の平野美宇（木下グループ、沼津市出身）を追う立場。陳夢に勝てば、世界ランク上位３人の中国選手を倒すことで得られる１０点を獲得し、平野との差を縮める好機だったが逸した。
　体調が万全でなかったことも結果に響いた。逆転での代表入りへ、来年１月の全日本選手権が最終選考の場となる。「まずは体調管理をしっかり。全日本選手権は試合数が多いので、初戦から楽しんでできるように練習したい」。気持ちを奮い立たせるように明るく振る舞った。

世界１位を撃破　成長示す逆転劇　木原・長崎組　痛快な逆転勝ちだった。木原、長崎組は１－２から２ゲーム連取で試合をひっくり返した。世界ランク１位の韓国ペアを破り、木原は「自分たちのプレーを取り戻せた。２人の成長を感じる試合だった」と満面の笑みだった。　
　第２、３ゲームは中途半端なプレーが続いて圧倒された。それでも中沢コーチに「ミスをしてもいいから思い切ってやれ」と送り出された第４ゲームに挽回。早い展開の強打で攻める持ち味が戻り、５連続得点で勢いに乗った。最終ゲームも主導権を渡さなかった。
　５月の世界選手権個人戦銅メダルの実力派ペア。４年前、今大会と同様に世界ツアーの上位選手で争うグランドファイナルを制した経験もある。長崎は「目指すのは変わらず金メダル。一戦ずつ２人で頑張りたい」と貪欲に語った。