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テーマ : 掛川市

静岡人インタビュー「この人」 「松ケ岡」の保全に10年間取り組む 小沢吉造さん(掛川市)

 明治天皇の行在所(あんざいしょ=宿泊所)としても使われた掛川市指定文化財「松ケ岡(旧山崎家住宅)」で清掃とPR活動を続ける住民グループ「松ケ岡を愛する会」の代表。所有者が処分の意向を示した2012年、市に屋敷を買い取るよう仲間と共に声を上げた。同市肴町で美術商を営む。66歳。

小沢吉造さん
小沢吉造さん

 ―活動に関わった経緯は。
 「市が取得する際、市民も協力すると約束した。もともと手入れが行き届いていた屋敷で、汚してはいけないという思いが強かった。よそから大がかりにボランティアを募る方法も考えたが、松ケ岡と地域を離れさせるわけにはいかない。清掃は地元住民を中心にやっていく」
 ―松ケ岡の魅力は。
 「屋敷構えや紅葉が映える庭園は素晴らしい。一番の魅力は山崎家の歴史。市の前身の掛川町で初代町長になった山崎千三郎は、身銭を切って用水や交通基盤の整備に取り組んだ。生きざまや人柄を調べて伝えていくことが自分たちの役割。屋敷は歴史を後世に伝承するための象徴的な存在だ」
 ―松ケ岡は現在修復中。どのような利活用を望むか。
 「屋敷の格式や威厳を重視して、文化財としてしっかり守っていく姿勢を求めたい。例えば、掛川市史を編さんする拠点にしたらどうか。合併後の市史はまだない。専門家や地区の代表者が集まって勉強し、意見を交わす場所としてふさわしいと感じている」
 ―課題は。
 「地域の宝として発信したいが、駐車場がほとんどない。高齢化で清掃活動に参加できる人が減っていく流れがあり、大事に守ってくれる人をどう育てるかという問題も大きい。しっかり課題と向き合っていく」
 (掛川支局・高林和徳)

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