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テーマ : 掛川市

スタート切るきみにエール 期待と不安 胸に一歩【親子の本棚 学校司書えりすぐり】

 もうすぐ4月。入学や進級、新しい生活が始まります。今月のテーマは「スタート」。期待と不安が入り交じる季節に、そっと背中を押してくれる本を選びました。生命の歴史をテーマにしたロングセラー絵本も紹介します。

 「あさになったのでまどをあけますよ」
「あさになったのでまどをあけますよ」
 ページをめくると「あさになったのでまどをあけますよ」の言葉とともに、それぞれの場所のあさが現れます。どの場所もあざやかに描かれていて、それぞれに違った魅力があります。
 この本は、作者の荒井良二さんが、東日本大震災の被災者の方と、被災場所で一緒に活動した時の思いを込めて書き上げた本だそうです。あさになって、まどをあける。そんな何ともない日々のくり返しが、きらきらと輝いてみえます。
 自分の子に読み聞かせをした次の日の朝、「あさになったのでまどをあけますよ」と、まどを開けてくれました。わが家の幸せな一日がスタートしました。
 (安井歩)

 「青いスタートライン」
「青いスタートライン」
 友だちのことや家族のことで、心の中にもやもやをかかえている小5の颯太。夏休みを過ごすことになった佐渡島のおばあちゃんの家で、去年の遠泳大会の動画を目にします。
 「…これだ…! ぼくも大会に出てみたい」。25メートルしか泳げないのになぜか1キロメートルの遠泳に挑戦したいと思ったのです。コーチの夏生による猛特訓で、水泳が上達する颯太は、大会に参加したくなった理由に気づきます。「自分も種をまいて、ちょっとのことでふらふらしない、自分だけの根っこを育てたいって思ったのかもしれない」と…。
 佐渡島の美しい海で颯太の挑戦が始まります。
 (鈴木るみこ)

 「挫折しそうなときは、左折しよう」
「挫折しそうなときは、左折しよう」
 頭の上には「モヤモヤ」がいっぱい入った大きな箱、左手では「オロオロ」の袋を引きずり、右手には「ビクビク」の重いトランク、そして背中には「イライラ」のリュックで立ち尽くす男の子。
 男の子は一歩踏み出すごとに“荷物”を置き、左折し続けます。すると、元の場所に戻った時にはオロオロやビクビクたちは、小さくなっていました。
 わかりやすい言葉や絵で小学生でも読みやすく、大人が読んでも気づきがある絵本です。ぜひ親子で読んでみてください。
 (中嶋裕子)

 「せいめいのれきし 改訂版」
「せいめいのれきし」
 私たちは、どうやって始まったのでしょう? 表紙をめくると“生命の歴史”の幕開けです。何十億年もの昔に生まれた地球は、まっかに燃えた火の玉でした。それが冷えて固まり、縮んで山や谷となり、大雨が降って海となりました。やがて、海の中に生命が生まれ、陸に上がり、増え、恐竜が現れ…。
 ページをめくるごとに、魅力的な言葉と絵で変化の様子が表現されています。横に書かれている説明も楽しく、自然に理解が深まります。
 本格的な内容ですが、60年以上も愛され続けている本なので、就学前のお子さんでも、読んであげれば十分楽しめます。親子で、壮大な時の流れを味わってください。
 (平出由美子)

 取り上げた本
 「あさになったのでまどをあけますよ」(荒井良二作・絵、偕成社、1430円)
 「青いスタートライン」(高田由紀子作、ふすい絵、ポプラ社、1430円)
 「挫折しそうなときは、左折しよう」(マーク・コラジョバンニ文、ピーター・レイノルズ絵、成田悠輔訳、光村教育図書、1650円)
 「せいめいのれきし 改訂版」(バージニア・リー・バートン文・絵、いしいももこ訳、まなべまこと監修、岩波書店、1870円)

 <掛川市内の学校司書が担当しました。次回は4月28日です>

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