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袴田さんの請求審 静岡地裁決定ウェブ掲載を 支援団体要望

 現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の第2次再審請求審で、東京高裁は13日、再審開始の可否について判断を示す。第2次請求を巡り、静岡地裁は2014年に再審開始と死刑・拘置の執行停止を決め、袴田さんを釈放した。一転して請求を棄却した東京高裁決定、審理を差し戻した最高裁決定とは異なり、地裁決定だけ裁判所のウェブサイトに掲載されていない。支援団体が「不合理だ」として公開を強く望んでいる。

 東京高裁での審理は、検察側が静岡地裁の再審開始決定を不服として即時抗告したために行われてきた。各地の支援団体で組織する「袴田巌さんの再審無罪を求める実行委員会」のメンバーは「市民が地裁決定の内容を知りたいと思っても見ることができない。地裁決定だけ掲載しない理由が分からない」と困惑する。
 最高裁は17年、社会的に関心の高い裁判例に関し、ウェブサイトに掲載する選別基準をまとめている。それによると、再審請求事件の場合、決定告知日の翌々日までに日刊紙2紙で報道された決定を挙げている。
 袴田さんの再審請求を棄却した18年の東京高裁決定と、審理不尽の違法があるとして高裁に差し戻した20年の最高裁決定はウェブサイトで確認できる。袴田巌さんの再審無罪を求める実行委は21年、静岡地裁に対し「地裁決定は基準の策定前だが、さかのぼって適用できるはず」と掲載を要請した。袴田さんの再審請求審を「国内だけでなく国際的にも関心が高い」とし、再審開始と同時に身柄を釈放した地裁決定を「画期的な裁判例。先例としても極めて重要」と強調した。ただ、地裁から「掲載できない」と回答されたという。
 静岡地裁は取材に「地裁として掲載は相当でないと判断した」と理由を述べ、今後掲載する予定があるかどうかの質問には「将来の掲載有無については答えられない」とした。支援団体側は「再度要請することも検討する」と話している。
 

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