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弁護団「色問題」立証に自信 証人全員に質問27日実施【袴田さん再審公判】

 静岡地裁で続く袴田巌さん(88)の再審公判は25、26の両日、1年以上みそに漬かった血痕に赤みが残るかどうかをテーマに検察・弁護側双方の証人計5人全員が証言した。検察側は、この「色問題」を再審請求審で担当してきた東京高検の検事を「最も精通している」(静岡地検の奥田洋平次席検事)として投入。一方の弁護団は立証に自信を深める。尋問最終日となる27日は5人の証人全員を証言台の前に並ばせ、裁判所の主導で質問していく「対質尋問」を予定。関係者は「裁判官がどんな質問をするかを見れば心証が分かるのでは」と注視する。

尋問を受けるために静岡地裁に向かう弁護側証人の清水恵子旭川医科大教授(右)と石森浩一郎北海道大教授=26日午前、静岡市葵区
尋問を受けるために静岡地裁に向かう弁護側証人の清水恵子旭川医科大教授(右)と石森浩一郎北海道大教授=26日午前、静岡市葵区

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 袴田さんの第2次再審請求の差し戻し審は最高裁の決定を踏まえ、1年以上みそ漬けされた血痕の色調変化が争点となった。2023年の東京高裁決定は、血痕に赤みが残らないと結論づけた旭川医科大の清水恵子教授らの鑑定などを評価し、再審開始を支持した。
 検察側は再審公判での証人尋問に当たり、差し戻し審を担当していた東京高検の山口聡也検事を尋問に立たせている。地検の奥田次席検事によると「検察の中で一番詳しい検察官が尋問するのが相当」との判断が働いた。「地検の検事が行うべき事務を取り扱える発令を受けている」という。
 組織を挙げて有罪立証に注力する検察側に対し、弁護団は手応えを隠さない。26日の記者会見で笹森学弁護士は「完全に勝負あったと思う」と語った。元裁判官の水野智幸弁護士も、化学反応の進行を阻害する要因があっても1年以上という期間で考えれば鑑定の結論は左右されないとの弁護側証人の証言を引き合いに「かなり成果が上がった」と説明。ただ、尋問は「水物」だとして、尋問最終日の27日も「きちっと対応したい」と気を引き締めた。
(社会部・木村祐太、佐藤章弘)

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