静岡がんセンター病棟にオンライン学習室 若者世代交流の場に 元患者の女性、改修費全額寄付
長泉町の静岡県立静岡がんセンターは29日までに、小児・AYA世代(15~39歳)の患者が学習や仕事に集中し、交流するための部屋「AYAルーム」を整備した。オンライン授業での単位取得を視野に入れた対応。患者だった県東部の70代女性が改修費を全額寄付し、実現した。
多くの小児・AYA世代が入院する6東病棟のデイルームの一部を改修した。部屋の愛称は「サークル」。森をイメージした8・3平方メートルの室内には、モニター1台、車椅子で利用できる昇降式デスク2台、ホワイトボード、ソファを設置した。寄付した女性は「屋外の気分を味わえるように」とマリーゴールド柄の壁紙を選んだという。
女性は部屋の完成を前に昨年1月に亡くなった。小野裕之病院長は「明日を担う若い世代を思い、寄付してくださった。この部屋から新しい人生を作ってほしい」と話した。
現在入院中の高校生と大学生は2人。4月から大学に進学する男性は病室で高校の授業や受験勉強を続けてきたが、騒音などが悩みだったという。「この部屋があれば良い環境で学生生活を送れそう。同じ環境でつらい思いをする同世代の患者とつながる場所ができてうれしい」と歓迎した。
(東部総局・菊地真生)