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大自在(4月2日)国際子どもの本の日

 小学生の娘が2歳の頃から、夫婦で就寝前の読み聞かせを続けている。ふだん帰宅の遅い父親ができるのは休日だけだが、娘の好む本が変わっていくことで成長を実感する。
 読み聞かせの効果かは分からないが、小学校に入ってからは頻繁に図書室や図書館に通っているようだ。ただ、物語を読んでほしい親の思いと裏腹に、借りて来るのは自然科学系の本ばかり。「子は親の思い通りにならない」ことも思い知らされる。
 4月2日は「国際子どもの本の日」。国際児童図書評議会(IBBY)が、子どもの本を通して国際理解を深めようと1967年に制定した。デンマークの童話作家アンデルセンの誕生日にちなむ。
 69年から毎年、IBBY加盟の各国が順番に記念のメッセージとポスターを作って世界中に発信している。ことしは95年以来2度目となる日本の番で、童話作家角野栄子さんがメッセージを送った。
 IBBY創設者のイエラ・レップマン(1891~1970年)はドイツ出身のユダヤ人。ナチス台頭で英国に逃れたが、終戦後すぐに混乱した母国に戻った。子どもたちには食べ物と同じように本も必要だと、世界最大の児童図書館設立など本を通じて希望を与える活動に奔走した。
 パレスチナ自治区ガザではイスラエル軍とハマスの戦闘で死者が3万人を超え、子どもの犠牲も1万数千人に上るという。どのような理由があろうと許される事態ではない。ガザの子どもたちが命の危険から脱し、本を通じて心の栄養を補給できる日を一刻も早く取り戻さなければならない。

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