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テーマ : 編集部セレクト

大自在(3月27日)相棒の裏切り

 「信頼していた方の過ちというのを、悲しくというかショックです」。米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手が、通訳だった水原一平氏の違法賭博問題について初めて語った。
 水原氏は通訳としてだけでなく、トレーニングや車の運転など公私でサポートし共に歩んできた。そんな「相棒」の裏切り。「うまく言葉では表せない」。大谷選手はどれほど動揺したか。想像を絶する。
 相棒を辞書で引けば「上下の意識なく一緒に仕事をする仲間」(新明解国語辞典)とある。江戸時代までよく使われていた乗り物の「かご」から生まれた言葉だという。箱状の座を棒でつるし、前後で一緒に担ぐ人のこと。
 大谷選手は、自身の口座から違法ブックメーカーに送金し、水原氏の巨額な借金の肩代わりをしたという疑惑をきっぱり否定。声明文では水原氏がうそをついていたと断じた。借金や仕事をほかの人に代わって引き受ける意味の肩代わりも、「かご」を担ぐのを交代することから転じたものだ。
 大リーグ機構などの調査の影響もあり、大谷選手の会見に質疑応答はなかった。疑惑は完全に晴れたという訳ではない。だが、話せずもどかしい思いもあったのだろう。沈黙を破ったことですっきりとした表情に映った。
 スポーツ界史上最高額でドジャースと契約し、私生活では結婚。新たな気持ちで世界一を目指すシーズンが、いきなりの逆風。「切り替えるのは難しい」と語った。ダメージは当然あるだろう。それでも全てを吹っ切ってくれると期待してしまう。それが大谷選手だから。

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