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能登地震3カ月、避難なお8000人超 断水の完全復旧見通せず「人間的な生活送れない」

 関連死を含め244人が亡くなった能登半島地震は4月1日で発生から3カ月となった。石川県の避難者は今も8109人に上り、珠洲市など5市町では約7860戸で断水が続く。完全復旧の見通しは立っておらず、発生3カ月でほぼ全ての断水が解消した2016年の熊本地震と比べ、遅れが目立つ。新年度の被災地に災害の爪痕が深く残る中、復興に向けた生活再建の加速が課題となっている。
避難所で配られた支援物資を手に歩く親子連れ。電気やネット回線は復旧したが断水が長引く状況に、看護師の母親は「復興といっても地域差がある。子育て世代では(地域を)出て行く人も多い」と話した=31日午前、石川県珠洲市宝立町地区
 石川県によると、最大時3万4173人に上った避難者は3月29日時点で24%の8109人となった。内閣府によると、一時18万人以上が避難した熊本地震は3カ月時点で最大時の2・5%に当たる約4600人にまで避難者が減った。
 石川県で最大約11万戸に上った断水は約7860戸に減った。ただ珠洲市のほぼ全域で続いているほか、通水した地域でも自宅に引き込む配管の修復が難航するなど、多くの被災者が不自由な生活を強いられている。最大44万戸超が断水した熊本地震は3カ月で1村の2戸を除き解消。3カ月半で完全復旧した。
石川県の被害、仮設住宅の状況
 石川県では住宅の全壊被害が8420棟に上っているが、これまでに完成した仮設住宅は894戸(3月26日時点)。3カ月後に1429戸が造られた熊本地震の6割程度の進捗(しんちょく)にとどまる。
 一部区間の運休が続く第三セクターの「のと鉄道」は4月6日に全線再開するが、能登半島沿岸部を囲むように走る国道249号の本格復旧には数年かかる見通し。
 新年度に入り、国や自治体は復旧、復興をさらに進める方針だが、被災地では手つかずのままの倒壊建物が残る。珠洲市三崎町の避難所で暮らす河原隆さん(72)は、公費解体制度が家屋全体の解体のみを対象としていることに不満を漏らす。「壊れていない部分を残して、住み続けたい人が多い。被災者の声に耳を傾けてほしい」と訴えた。

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