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社説(3月27日)大谷選手の会見 疑惑晴らし野球専念を

 米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手が、専属通訳だった水原一平氏の違法賭博疑惑について初めて現地で記者会見し、自らの賭けや胴元への送金などすべての関与を否定する声明を発表した。
 たとえ通訳の不祥事でも、大谷選手が関与していれば法的責任を問われたり、大リーグ機構から出場停止などの処分を科されたりすることも考えられる。声明が事実なら、その可能性は極めて小さいと見てよかろう。ひとまずはファンを安堵[あんど]させた。
 とはいえ、大谷選手が「話せることに限りがある」と前置きしたように、質疑応答はなく会見時間は10分程度。口座への送金方法など未解明の点があり、調査の進展が待たれる。エンゼルスからドジャースに10年7億ドル(約1千億円)の巨額契約で移籍し、新天地でのシーズンが始まった直後、長年苦楽を共にした相棒の裏切りでスキャンダルに巻き込まれたとすれば、衝撃の大きさは察するに余りある。大谷選手は捜査に全面協力して疑惑を晴らす必要があるが、関係機関も迅速に調査を進め、大谷選手ができるだけ早く野球に集中できるようにする対応を望みたい。
 米国の報道などによると、水原氏が違法なスポーツ賭博をして巨額の借金を作り、その支払いとして大谷選手の口座から賭博の胴元側へ日本円で約6億8千万円が送金されていたことが分かった。
 水原氏は疑惑発覚の直後、米スポーツ専門局のインタビューに対し、大谷選手に借金の肩代わりを要請し、同意を得て送金してもらったなどと説明。ところが翌日、すべてを撤回した。この経緯が報じられると、インタビュー内容は真実で、大谷選手に迷惑がかからないよう撤回したのでは―などの臆測を呼んだ。
 大谷選手は会見で、水原氏の当初の説明はすべて虚偽だとし、弁護士を通じて水原氏の行為は「窃盗と詐欺」に当たるとして司法当局に捜査を委ねたことを説明した。
 だが、会見では水原氏がどのように口座にアクセスし、送金したのか具体的な説明はなかった。日本ハム時代の同僚で、大リーグ移籍後は専属通訳として公私にわたり行動を共にしてきた。家族同然で信用しきっていたとしても、水原氏が何のチェックもなく口座から大金を引き出せたとすれば、管理の甘さを指摘されても仕方あるまい。スーパースターである以上、リスク対応や会計管理に相応の注意とコストを払う必要がある。それが自分や家族、仲間を守ることにつながるはずだ。
 大谷選手がこのスキャンダルを乗り越え、以前と同じ気持ちではつらつとプレーできる日を世界中のファンが待ち望んでいる。

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